ヤクルトの切り札「バレンティン復帰」は吉か凶か!? (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「まず一流投手というのは、そう打てるものではありません。ボールのスピード、制球力、変化球、それに精神力とすべて揃っています。だけど、そうした投手を打てるのがバレンティンなんです。だから今、欲しい(笑)。試合の流れを変えられる、打線の核となる選手がいるチームが強いに決まっているんですから。今の山田(哲人)がそうかといえば、まだそこまでではない。バレンティンはホームランが打てるし、フォアボールも選べるので出塁率も高い。なにより、バレンティンが加わることで、山田や畠山(和洋)へのマークが薄くなる。バレンティンには数字から見えない、チームへの貢献力があるんです」

 9月15日、戸田(埼玉)で行なわれたイースタンリーグでのヤクルト対ロッテ。バレンティンは試合前のフリー打撃でバックスクリーンを軽々と越えていくなど、長打力は健在。バッティング投手を務めた伊勢孝夫バッティングアドバイザーは言う。

「春先に見た時(アキレス腱手術後の調整期間中)と比べれば数段いい。あの時はランニングするにしてもぎこちなかったから。今の状態は6~7割やね。僕らが投げる球を遠くに飛ばして気分がいいと思うけど、まだピッチャーのボールは打っていないわけだから。今の状態では140キロを超すボールへの対応は難しいんじゃないかな」

 この試合、バレンティンは「3番・DH」で出場。見逃しの三振ひとつを含む2打数0安打(2四球)という結果に終わった。だが、「久しぶりにスライディングをしたけど、足は大丈夫」と走塁も無難にこなし、復帰に向け順調に回復しているようだった。

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