【プロ野球】ドラフト戦線異状あり。もはや高校生は即戦力!? (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 繁昌良司●写真 photo by Hanjo Ryoji

 浅井氏はこれまで30年以上にわたり、高校野球の世界に携わってきた。近年の高校野球に目を向けると、例えば投手なら140キロは当たり前で、変化球も多様化するなど、技術力向上は明らかだ。それに加え “意識の高さ”という部分も、最近の高校生の傾向なのだろうか。

「今はいろんな情報が溢れていて、その気になれば高校生でも本やネットから技術を勉強することができる。確かに、そうしたところで選手の成長を促(うなが)している部分はあるでしょう。ただ、いくらいい教科書があっても、そこから情報を得て真似るだけではダメ。少なくても3割はオリジナルを加えていかないと自分のモノとして身に付かない。これをできるかどうかが重要で、できる選手はプロに入って力を発揮するんだと思います」

 武田、釜田の成功例を踏まえつつ、永山氏に楽しみな高校生の逸材が揃う今年のドラフトについて語ってもらった。

「武田や釜田の活躍によって、『高校生のレベルが上がった』『即戦力として期待できる高校生が増えた』と思われますが、一概には言えません。ただ、いつの時代もそうなんですが、技術、体力はある程度備わっていることを前提とすると、学習能力や吸収力の高い選手は伸びる。それを見極めるのが僕らの仕事。もちろん今年の注目選手の中にも、そうした高い意識を持っている選手はいます。なので、早い段階から一軍で活躍するかもしれないですね」

 そして最後に、今年のドラフトの目玉でもある大谷翔平(花巻東)、藤浪晋太郎(大阪桐蔭)についても聞いてみた。

「大谷くんは投打ともに、この先、球史に残るようなとてつもない選手になる可能性を秘めています。素材だけなら間違いなくナンバーワン。ただ、まだ体もできていないし、いずれにしても少し時間はかかるでしょう。対して藤浪くんは、すべての面で成長しており、即戦力といってもいいぐらいの存在になった。この成長力はたいしたもので、プロでも早くから活躍できる要素を持っていると思います」

 まもなく行なわれるドラフト。体力、技術の他に、高い意識を持った高校生がどれだけ指名されるのか。おそらく1年後にはその答えは出ているのだろう。

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