「これがプロで活躍する選手だ」学生時代の吉田正尚の技術に驚愕 社会人野球のレジェンドが引退「まさかここまで長く野球をやれるとは」 (4ページ目)

  • 藤井利香●取材・文 text by Fujii Rika

【プロでは勝負にならないと思っていた】

ーー途中、プロでプレーしたいという気持ちもあったのでは?

 自己分析をして、プロでは勝負にならないとずっと思っていました。学生時代の吉田正尚(現・レッドソックス)を見た時は技術の高さに圧倒され、驚愕するレベルでした。これがプロで活躍する選手だな、と。山川穂高やラオウ(杉本裕太郎)も大学ジャパンの選考会で一緒でしたが、飛距離は別格でした。

ENEOSとどろきグランド三塁側ベンチの定位置からグラウンドを眺める 撮影/村上庄吾ENEOSとどろきグランド三塁側ベンチの定位置からグラウンドを眺める 撮影/村上庄吾ーー社会人野球で印象に残るシーンをもう少し教えてください。

 先ほどの9年目の都市対抗・西関東予選でのサヨナラホームラン(対東芝)、今ヤクルトにいる吉村(貢司郎)投手から打ったんですが、会社にとっても自分にとっても大きな一打で、社員の方にも喜んでもらい日を追うごとにそれを実感することができました。あとで監督にウイニングボールを渡そうとしたら「これはお前の人生の財産だから」と戻されて、そのことも印象深かったですね。

 あとは、やはり2度目の優勝です。低迷期は社内でもなんか肩身の狭いような思いがずっとあって、そこから2022年の10年目でまた勝てた。僕はDHだったんですが、最後に相手打者を打ちとってベンチからマウンドに飛び出していくじゃないですか。あの光景は今も忘れられません。うれしいとかいう感情を超えて、泣くつもりはなかったのに泣けてくる、あの幸せな瞬間は宝物です。

社会人1年目と10年目に2度の優勝を経験した 撮影/浅田哲生社会人1年目と10年目に2度の優勝を経験した 撮影/浅田哲生

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