知名度よりも潜在能力。2018年ドラフトの本当の「隠し玉」はこの5人! (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 次に紹介したいのが、なかなか結果を出せずにいるが、「まだまだこんなもんじゃないはず」と期待しているのが法政大の森田駿哉(投手/左投左打)だ。富山商時代から有名な投手で、もし高校時にプロ志望届を出していれば"1位指名"だってあったかもしれないという"大器"である。

 183センチの大型ながら、ボディバランスは抜群で、フォームにぎこちなさがまったくない。140キロ前後のストレートにタテのスライダー。将来の絶対的エース......そんな期待も込められていたのだろう。入学直後、1年春のリーグ戦でいきなり"開幕投手"の大役を担った。

 だが、それから苦しんだ。肩を痛め、回復にかなりの時間を要した。ようやくベンチに戻ってきたのが今年の春。しかし、"森田復活"の声は聞こえてこない。

 ただ、明るい話題は大竹耕太郎(ソフトバンク)の健闘だ。早稲田大1、2年時にはエースとして全国制覇に貢献しながら、その後は停滞を続け、それでも"育成枠"としてプロに進んだ。

 1年目の今季、ファームで8勝0敗の快投を見せると、7月に支配下登録を勝ち取り、シーズン後半には一軍で3勝をマーク。CSでも登板するなど、日本シリーズ進出に貢献した。このように心強い前例もできた。森田に不退転の決意があれば、十分復活も期待できるはずだ。

 名城大・栗林良吏(りょうじ/投手/右投右打)は、大学ラストシーズンを25季ぶりのリーグ制覇で締めくくった。

 140キロ台後半のストレートとタテのスライダーは、すでにプロで使える球種だ。それに今年は、必殺のフォークが加わった。これは名城大OBでもあり、元中日の右腕・山内壮馬コーチが「狙って三振を奪えるボール」として栗林に伝授したものだ。

 じつは、栗林のボールを受ける機会があった。ナイター練習の薄暗いブルペンだったため、さすがに全力投球とはいかず立ち投げだけにとどまったが、それでも球質はわかる。久しぶりに"石"を受けているような重さと力強さがあった。回転が強烈な証拠だ。トラックマンの計測でも、全国トップクラスの回転数を計時したそうだ。これだけのストレートと切り札となる変化球があるのは大きな強み。

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