「野球に関わる仕事に就くためには何が必要?」投資を学ぶ高校野球部生が考えた (2ページ目)

  • ,鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【意外とある「野球に近いところ」の仕事】

「そうか、野球やスポーツに関係する仕事に興味があるんだね」と、奥野先生が会話に加わってきた。

由紀「やっぱり好きですから」
鈴木「でも......何から始めたらいいのかな?」

奥野「スポーツ系の青春ドラマによくありがちな話だけど、プロを目指していた子が、あと一歩のところで故障してしまい、プロの道が断たれたことによって意気消沈。まだ17歳かそこらなのに、将来に絶望して大いに悩む......なんてシーンがよくあるよね。

 正直、高校野球の選手でもプロ野球の選手になれる人は、0.1%にも満たない。しかも、レギュラー選手になって活躍するとなると、さらに確率は低くなる。だから、高校野球や大学野球の選手がプロ野球の選手になるっていうのは、とてつもなく高い壁をよじ登らなければならないんだ。

 しかも、プロ野球選手の寿命はとても短い。日本野球機構(NPB)が発表しているデータによると、平均在籍年数は7.7年(2022年10月31日時点、以下同)。戦力外通告をされた選手と、現役引退選手の平均年齢は27.8歳って言うのだから、辞めた後からの人生のほうがはるかに長い。

 これは野球選手に限ったことではないんだけど、プロスポーツ選手は総じて現役のうちは試合のことしか考えていないから、現役引退となった時、自分のセカンドキャリアをどうすればいいのかで、途方に暮れてしまうことがあるという。一見、華々しい世界に見えるけど、そんなのは長い人生のなかでほんの一瞬のことでしかないんだよ。

 そう考えると、そもそも自分が生涯を通じて野球の選手として生活していくということは非現実的なんだけど、それでも野球の世界に関わり続けたいのであれば、次善の策として、何らかの形で野球に携われるような仕事を探すことになる。

 そうなると、ちょっとだけ間口が広くなる。スポーツ用品メーカー、イベントビジネス、スポーツトレーナー、栄養士・・・・・・。直接、野球に関連しそうな職業を挙げただけでも結構な数になるし、たとえば旅行代理店でスポーツ観戦のツアーを企画するとか、飲料メーカーでスポーツドリンクのプロモーションで野球選手を起用するといったことも含めて考えれば、どんな職種でも、野球に近いところで仕事をするのは可能と言えるかもしれないね」

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