池江璃花子、世界水泳の13レース出場に「気持ちをコントロールできなかった」 パリ五輪に向けて種目を絞る決断も (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kishimoto Tsutomu/PICSPORT

【パリ五輪に向けてどこにポイントを絞るのか】

 こう振り返る池江の心のなかには、「今の自分は過去の自分とは違う」という思いもあり、複雑な心境をのぞかせた。ただ、夜のバタフライ決勝に向けては、気持ちを切り替えて臨めた。

「あとはもうやるだけだと思ったし、1%でも勝てる可能性があるのならそれを信じてやろうと思って臨みました」

 結果的には7位で終わってしまったが、決勝の舞台に進んだことを、母親をはじめとする多くの人たちが喜んでくれていることを知り、悔しさはありながらも満足感を得ることができた。そして、この先についてはこう話す。

「次からは50mではなくて、100m種目にフォーカスしなければいけないと思います。だから9月のアジア大会のあとは、50mのことは忘れて100mをメインにしてトレーニングを積んでいきたいと思っているし、来年の日本選手権は五輪の本番を見据えて、予選や準決勝から積極的なレースができるようにしていきたいと思います」

 大会最終日に女子メドレーリレーの自由形を泳いだ池江は、「午前の予選が終わってからメンバーを変えるという話になったけど、自分が勝ち取ってきた決勝を泳げなかったらものすごく悔しいと思い、もし出られるなら絶対にタイムをあげてやると思いました」と言うように、これまでのリレーでは53秒9台だったラップタイムを53秒66にあげ、6位で受け継いだ順位を守り切って、予選8位から順位を上げる意地の泳ぎを見せた。

「泳ぎは過去の自分に引けを取らないスピードも出ているので、あとは自分のスタートの足りないところをどんどん強化していくだけだと思う」と言う池江が、これから出られる種目のすべてに出たいという欲を抑えてどう種目を絞り、チームとしてのリレーにどこまで取り組んでいくのか。この8日間の戦いと50mバタフライ決勝進出という結果を踏まえ、パリ五輪に向けた彼女の次なる戦いがここから始まる。

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