箱根駅伝で國學院大5位の原動力は2年生 ゴール後に涙も頂点を目指して前を向く (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun

 鎌田は1年時は半年以上ケガに苦しみ、まともに走れなかった。手応えを感じられたのは2年の夏合宿を終えた頃だ。「どこの区間でも行ける」と思えるぐらい、調子が上がり、出雲や全日本は出走できなかったが、箱根は外さないように慎重に調整してきた。その結果、鎌田は8区を任され、同期3名との出走が決まった。

 2年生について、鎌田はどう見ているのだろうか。

「自分たちの代は強い選手が多いですし、和気あいあいというか、仲が良いです。そこは3、4年生と雰囲気がちょっと違うと思います。上原は学年長でしっかりしているし、周囲にすごく気配りができる優しい奴で、瑠郁は普段はクールなんですけど、心に熱いものを持っている。豪起と純平は普段はのほほんとしているんですけど、試合に向けてハメてくる力がすごいです。自分は俺が俺がというよりもかなり控えめな性格です(笑)」

 控え目な性格だが、負けず嫌いだ。今回の箱根は駒澤大に負けたくないという強い気持ちで出走した。勝負飯は小豆餅で、中学の時からレースの前に食べているという。結局、64分58秒で区間6位、國學院大新記録というすばらしい走り。自らの役割を果たすと、レース後は疲れを見せず、チームメイトと談笑していた。

 10区、アンカーを任されたのは、高山だった。
 
 昨年の箱根駅伝は8区13位と苦しんだが、今年はそこで見えた課題を克服してきた。

「昨年の箱根は、本当に悔しかったです。その時は単独走が苦手で、今年は単独走でも勝負できるようにとひとりで走るだけじゃなく、いいイメージを持って走るなど工夫して取り組んで来ました。その結果、出雲(5区)も全日本(4区)も単独走に近かったんですけど、ともにしっかり走ることができたので、単独走の苦手意識はなくなりました」

 出雲では5区4位、全日本は4区4位と好走し、箱根は単独走メインの10区に置かれた。トラックよりもロードが好きで、いずれマラソンに挑戦したいという。タイプ的には駒澤大の山川拓馬(2年)に似ているが、高山も意識しており、「過去2回ハーフを一緒に走って負けているので、今度、同じレースに出た時は絶対に負けたくない」と闘争心を燃やしている。ライバルに勝ち、強くなって大学4年目には2区を走るのが目標だ。
 
 箱根前は、上尾ハーフの後に故障し、12月にはインフルエンザに罹患するなど、調整に苦しんだ。それでもなんとか復調し、同じように苦しんだ同期の出走には「嬉しいですね」と表情を崩した。

「自分たちの代は層が厚いですし、全日本では自分と上原、瑠郁、純平と4人で中心区間をつなげました。國學院大を自分たちで支えることができるんだという走りができましたし、そういう気持ちでみんないます。仲はいいですけど、やっぱり同期には負けたくないという気持ちはみんな持っています。自分は長い距離が得意なので、ハーフの距離では絶対に負けたくないですね」

 箱根ではラスト、法政大の宗像直輝(4年)と激しい競り合いになったが、ロードでの強さを見せてチーム総合5位でフィニッシュした。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る