女子アスリートなら知っておきたい生理の症状に関する主な4つの対処法 伊藤華英「専門医に相談できる体制も整えてほしい」 (3ページ目)

  • text by Sportiva
  • 廣瀬久哉●撮影 photo by Hirose Hisaya

【婦人科の先生を見つけてほしい】

 これらの知識を得ることと同時に、かかりつけ医の婦人科の先生を見つけることもとても重要です。月経痛がひどくて起き上がれないとか、部活の練習に参加できないとか、月経のたびに鎮痛剤を飲んでいるというのであれば、一度婦人科に行ってみてください。

 10代のアスリートのなかには産科と婦人科がくっついた「産婦人科」に行くのは抵抗があるという人がいます。そんな時にはチームのコーチやトレーナーの方が一緒に行くなどの対応をしてほしいです。

 また女性アスリート健康支援委員会のサイトには、「産婦人科医検索システム」があり、月経周期とコンディションへの対策や運動性無月経など、女性アスリート特有の問題に対応するための講習会を受講した医師を、地域別に検索することができます。約1500人の医師が登録されていますので、かかりつけの先生がいない場合は、ここで探してみるのもいいかもしれません。

 そして女性アスリートのみなさんにはとくに、月経に対する意識を変えてほしいと思っています。月経は女性にとって人生とともにあるものです。女性は平均12歳から初経を迎え、50歳あたりに閉経を迎えます。自身の健康において、月経はとても大切なものなのです。人には、自分自身の体を守っていく権利があることをしっかりと認識してください。

 またアスリートには楽しくスポーツをする自由もあります。女性が健康であるということは、正常な月経周期、月経期間で生理があるということですので、それを大前提としてスポーツを楽しんでほしいです。また正常に月経がきていれば、たくさんの対処法があることを認識してください。

 知識をしっかりと持って、専門医の方に相談できる体制を整えておけば、スポーツのパフォーマンスが上がることも知っておいてほしいです。


【Profile】
伊藤華英(いとう・はなえ)
1985年1月18日生まれ、埼玉県出身。元競泳選手。2000年、15歳で日本選手権に出場。2006年に200m背泳ぎで日本新、2008年に100m背泳ぎでも日本新を樹立した。同年の北京五輪に出場し、100m背泳ぎで8位入賞。続くロンドン五輪では自由形の選手として出場し、400mと800mのリレーでともに入賞した。2012年10月に現役を引退。その後、早稲田大学スポーツ科学学術院スポーツ科学研究科に通い、順天堂大学大学院スポーツ健康科学部博士号を取得した。現、全日本柔道連盟ブランディング戦略推進特別委員会副委員長、日本卓球協会理事。

■インスタで「スポーツと生理」の教材を配信
伊藤華英さんがリーダーを務める「1252プロジェクト」。これは女子学生アスリートを中心に、10代の若者が抱える「スポーツと生理」にまつわる課題に対し、トップアスリートの経験や医学的知見をもって、情報発信をしているプロジェクト。その一環として、インスタグラムで手軽に学べる「スポーツと生理」の次世代型オンライン教材『1252 Playbook』を配信中。
Instagram:1252project>>

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