ヒロド歩美「選手を邪魔している。この時間は当たり前じゃない」 フリーアナウンサーとして3カ月 スポーツ取材で心がけていること (2ページ目)

  • 石塚 隆●取材・文 text by Ishizuka Takashi
  • 千葉タイチ●撮影 photo by Chiba Taichi

――これまで馴染みのなかった競技を取材する際に、どのようなアプローチで接するようにしていますか。

ヒロド 取材をしていて思うのが、その競技に興味を持つきっかけって、やっぱり全部"選手"なんですよね。人間から入って、競技というものを見ていく。これは『熱闘甲子園』で、高校野球を取材した時から同じですね。

高校野球を取材しはじめた頃のヒロドさん(写真提供:ご本人)高校野球を取材しはじめた頃のヒロドさん(写真提供:ご本人)この記事に関連する写真を見る――以前、野球の現場でお見かけしたことがあるのですが、積極的に動いている様子で現場がお好きなんだなと感じました。

ヒロド はい、まずは現場ですよね、絶対に。現場では最終的に"伝える"出演者として、同行するディレクターに自分で見つけた取材ネタをアピールしています。自分ならではのネタをしっかり持って取材するということです。インタビューをするにしても、ディレクターから指示されたものだけでなく、それにプラスアルファで、自分自身で掘り下げたことをぶつけたいと思っています。

――たとえば選手の方々に取材をする際、距離感などで心がけていることはありますか。

ヒロド 大前提として、当然のことなのですが、まずは選手の方々や競技をリスペクトすること。あと、取材に入るだけでも選手の方々を邪魔していると思うので、この時間は当たり前じゃないという思いでいます。たとえ選手の方々が時間を割いてくれたとしても、それに驕ってはいけないと心がけています。

――大事なことですよね。新しく知る競技を取材する時、仮に勉強したとしても知識が追いつかないこともあると思うのですが、そういう時はどうしていますか?

ヒロド たとえ学んでいたとしても、野球以外の競技の場合は、そのまま聞きます。たとえば、先方が専門用語を使った場合、「それは何ですか?」と素直に聞く。

――ある意味、知ったかぶりをしない。

ヒロド 視聴者の方と同じ視点を忘れずに、なるべくその選手の言葉でひとつひとつ説明してもらえるような感じで聞きますね。実際、最初に言うんですよ、「本当に無知の素人なので」って(笑)。そうすると選手の方も伝わりやすい言葉で、いろいろと教えてくれるんです。野球の場合も、技術的なことに関しては「素人なので......」と、結構使います(笑)

――ヒロドさんにとって、スポーツの取材の醍醐味や面白さとは何になりますか。

ヒロド 継続ですね。どんどん輪が広がってくるところだと思います。以前取材した選手が違うステージに行って、また現場で再会してつながることができたりすると、本当にこの仕事って面白いなって。たとえば先日、日本ハムの加藤豪将選手の取材に行った時に、チームメイトの細川凌平選手に加藤選手のことをいろいろと教えてもらったんです。細川選手とは、彼が智辯和歌山高校時代に知り合っていたので。

あとは選手の人間的なすごさというのか、そこがやっぱり視聴者の方の心を掴むんじゃないかって思っています。そのスポーツをやっていない方でも、一流のアスリートの考え方にふれ、共通点や親近感を抱くことがあるでしょうし、そういった部分を引き出せた時は醍醐味みたいなものを感じます。

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