ガールズグランプリ昨季女王、柳原真緒 最高のメンタルを作り上げられた要因を告白「すべてで勝ちたい」 (3ページ目)

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro
  • 安田健示●撮影 photo by Yasuda Kenji

【すべてで勝ちたい】

 グランプリを制覇し、頂点に立った。だが自分が一番だという自覚はまだない。

「レースで勝ちましたが、脚力で勝ったという意識はありません。競輪学校の同期だった佐藤水菜は今、自転車競技の日本代表として世界の舞台で活躍していますし、まだ勝ったという意識はないんです」

 また柳原がデビューしてから背中をずっと追いかけ続けてきたガールズケイリンのトップレーサー、児玉碧衣の凄さにも改めて気づいた。児玉はガールズグランプリで3連覇した経験を持つ。プレッシャーがあるなか、メンタルをキープし、勝ち続けることがどれだけ難しいかを自分がグランプリを獲ったことで知った。頂点には立ったが、まだ終わりではなく、その先にさらに高い山がある。

柳原はさらなる高みを目指す柳原はさらなる高みを目指すこの記事に関連する写真を見る

「私は勝負に関しては勝つか負けるかのどちらかで考えていて、1番でなければ2番も3番もいりません。そしてレースで勝つのはもちろんですが、それ以外のレース内容などすべてで勝ちたいと思っているんです。その物差しは自分のなかにしかないものなんですけど、本当に心から勝ったと思えるレースができるように、これからも頑張っていきたいと思っています」

 驕りや慢心はない。柳原は変わらずこれからも1番だけを目指し続ける。

【Profile】
柳原真緒(やなぎはら・まお)
1997年5月18日生まれ、福井県出身。身長164cm、体重68kg。中学・高校と陸上競技の投てきに励み、高2で日本ユース陸上競技選手権大会JOCカップ砲丸投げ5位、高3で国民体育大会やり投げ4位と好成績を残した。ケガの影響もあって自転車競技に転向して実績を積み、日本競輪学校(現日本競輪選手養成所)に入学。2018年、21歳の時にデビューし、翌年からガールズケイリン特別レースに出走。2022年にガールズケイリンコレクションいわき平ステージで優勝すると、その年末のガールズグランプリ2022で初出場・初優勝の快挙を成し遂げる。

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