太ももの周りは65cmレッグプレスで500kg 小林優香はバレーから自転車へ転向 五輪の夢と強靭な肉体を手に入れた (2ページ目)

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro
  • 石川高央●撮影 photo by Ishikawa Takao

【ナショナルチーム辞退の決断から好転】

 ここでプロ入り後、最初の決断をする。それがナショナルチームの辞退だ。オリンピックを志して始めた自転車だったが、あえてそこを目指す道筋から一度、距離を置いたのである。

「グランプリで負けたことで2015年はガールズケイリン一本に絞ろうと考えました。まずは国内で無双になろう、そしてすべてのタイトルを取らなければと思ったんです」

 2015年も連戦連勝、多くのタイトルを手にしただけでなく悲願のグランプリ初制覇も果たす。狙った勝利を確実に手にし続けた1年だった。

「ただどんなに勝っても常に"次へ"と考え続け、満足できる日はなかったです。優勝したグランプリの夜だけはホッとしましたが、それも少しだけのこと。すぐに"来年へ"と気持ちが向きました」
 
 この結果を受け、2016年からガールズケイリンと自転車競技ナショナルチームの二足の草鞋を履く生活が再スタートした。ナショナルチームではシーズンを通して海外遠征があるため、ガールズケイリンへの出走機会は減らしたが、出るレースでの存在感は変わらなかった。

「ガールズケイリンは本職。出るレースは大きなものが多いので、私の存在を忘れられないようにしようと思って、頑張りました」

2016年から再びガールズケイリンとナショナルチームで奮闘2016年から再びガールズケイリンとナショナルチームで奮闘この記事に関連する写真を見る

 言葉のとおり、自転車競技と並行しながら、ガールズケイリンのタイトルも毎年のように手にし続けた。そして世界の舞台でも結果を残し始める。2018年12月にワールドカップベルリン大会女子ケイリンで自転車競技短距離種目では日本史上初となる銅メダルを獲得。翌月にはアジア選手権で金メダルを手にした。さらに2021年、UCIトラックネーションズカップ香港大会女子ケイリンで金メダルを獲得している。これは日本人女子として、国際自転車競技連合(UCI)が主催する国際大会のケイリンでは史上初の金メダル獲得だ。

「とくにアジア選手権での金メダルは印象深いです。決勝でオリンピック王者がいるなか、自力で外からまくっての優勝だったので手ごたえを感じました。ただ史上初、銅メダル、金メダルって続いても、まだまだって感じでしたよ」

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