スウェーデンの五輪チームが絶賛したユニクロの公式ウエアの工夫。スポーツ、ファッションを通じて描く未来 (3ページ目)

  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 一方、高い技術力を持って開発をすれば、コスト面が上がるリスクも出てくる。こちらの「コストがかかって商品の値段が上がると、あらゆる人の暮らしを豊かにする、というコンセプトの『あらゆる人』の幅が狭まってしまうのではないか」という問いに対して、柳井氏は「機能性を高めることが、必ずしもコストアップにつながるわけではないんです」と返答し、次のように続けた。

「例えば、平野歩夢選手と共同開発したハイブリッドダウンは、ダウンに中綿素材を組み合わせることで、コストを抑えるだけではなく、軽さと動きやすさを実現することができました。もちろん保温性も保たれています。ほかにも、布のつなぎ目を縫うのではなく貼りつける"ボンディング"にすると、軽くなるだけでなく、糸を使わなくて済むようにもなります。すべての方に機能とコスト面で満足いただけることはユニクロに求められていることだと思いますし、素材を少なくする点はサステナビリティの観点からも重要なことだと考えています」

photo by Kishiku Toraophoto by Kishiku Toraoこの記事に関連する写真を見る サステナビリティは「sustain(持続する、保つ)」と「-able(~できる)」を組み合わせた言葉で、日本語では「持続可能性」を意味する。スウェーデン五輪委員会が、ウェア開発にあたって「クオリティ」「イノベーション」とともに求めた部分でもある。素材選び、製造過程といった点から、環境に配慮した再生・持続可能な方法を話し合いながら開発が進められた。

 スウェーデンはサステナビリティの先進国。ドイツのベルテルスマン財団と、持続可能な開発ソリューション・ネットワークが2020年6月に公開した「持続可能な開発報告書2020」の中の国別ランキングでも1位となった。ピーター氏は「ユニクロの服について、パフォーマンスの観点ではなんの心配もありません。今後は、よりサステナビリティに力を入れていくでしょう。その先で新たなマーケティング市場を開拓していく。ユニクロがロールモデルになっていくことを期待しています。社会貢献に対する意識は私たちも同じですし、我々も協力していきます」と語った。

 ユニクロもすでに、さまざまな取り組みを始めている。全商品をリサイクル、リユースする「RE.UNIQLO」、ペットボトルから糸を生産したリサイクルポリエステルを使った 服作り、スポーツとゴミ拾いを組み合わせた「スポGOMI ×ユニクロ」、錦織圭選手をはじめとした、ユニクログローバルブランドアンバサダーによるスポーツを通じた次世代育成 イベント、日本サッカー協会と取り組む「JFAユニクロサッカーキッズ」など、多角的な活動を行なっている。

 ひとつの分野にとどまらず、多くの人々の生活を支える。スウェーデンと手を取り合いながら、ユニクロはあらゆる活動を継続していく。

◆ユニクロ

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