スウェーデンの五輪チームが絶賛したユニクロの公式ウエアの工夫。スポーツ、ファッションを通じて描く未来 (2ページ目)

  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 プレー中だけでなく、選手村など施設で過ごす時間も考える必要がありました。例えば冬の北京五輪に向けたコンセプトのひとつがレイヤリング、"重ね着"です。外は寒さが厳しいですが、建物の中は暖かくて逆に暑くなってしまう。なので、外に着る服は風や寒さを遮断できて脱ぎやすいものにするといったように、大会期間中はどこにいても快適に過ごしてもらうことを意識して開発を進めました」

 ピーター氏はさらに、ファッション性の高さについても言及した。

「見た目のよさは自信となり、いいパフォーマンスにつながります。選手たちも『今まで着たウェアの中で一番よかった』と口にしていました。機能性とファッション性を兼ね備えたユニクロの服は、アスリートだけでなくすべての人が日常生活でも着られるという点も素晴らしいです」

photo by Kishiku Toraophoto by Kishiku Toraoこの記事に関連する写真を見る インタビューの途中には、ピーター氏がジャージを脱ぎ、ポロシャツを指差して「東京五輪で着ていたものですが、今でも、どこに行くにもこれを着ています」と笑顔を見せる場面も。競技の時だけでなく毎日の生活までをサポートすることは、「あらゆる人の暮らしを豊かにする」というユニクロのLifeWearというコンセプトにつながる。

 中には、選手の要望に応えて開発したウェアが、多くの人々の生活を支える服として広まった例もある。2013年にマスターズを制したアダム・スコット選手と共同開発し、2014年2月から発売が始まった高機能ボトムス「ドライストレッチパンツ」、現在の「感動パンツ」がそのひとつだ。

「彼と契約したのはマスターズを制する直前でしたが、当時のユニクロにはストレッチ素材のメンズのボトムスはありませんでした。ゴルフではスイングや、パッティングでグリーンの芝目を読む際に下半身の動きが大きくなるため、スコット選手から『伸縮性があるボトムスを作ってほしい』という要望があったんです。

 競技の特性上、ジャージのような素材ではプレーができないので、かっちりとしたフォーマルな見た目であることも必要でした。そうしてできた、伸縮性とすっきりとした見た目を両立したパンツは、数年でパンツ部門の売り上げでトップを争うまでになりました。それだけ、一般の方にとっても必要な機能と見た目だったんだと実感しましたね」(柳井氏)

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