小平奈緒の駆け抜けた競技人生。「記憶に残る大会は?」の問いに「次のレースが最高のレースになる」 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

現役ラストレースへ向けて

 彼女が常に口にしていた「駆け抜けたい」という言葉のように、小平は競技人生のなかでタイムというゴールを設定することなく、駆け続けていたのだ。

 そんな小平が初めて設定した、競技人生のなかでのゴール。それが10月の全日本距離別選手権だ。

「10月に向けては今までやっていなかった講演やイベント活動もやって、地域の皆さんと関わりを持ちながらも、現役アスリートという時を過ごしていきたいという思いを両立させなければいけないので、少し覚悟も必要だと思います。でもそういうなかで感じ取る学びもすべてプラスに変えて、10月に本当に会場をひとつにしたような、『スケートってこういう一面もあるんだな』という、小平奈緒としてのスピードスケートの面白さというか、(観客が)心を動かされるような空間を作っていきたいなと思います」

 これまで数々の輝かしい結果を残してきたなかで、記憶に残るのはどの大会だったかという問いに、小平は明るい表情で「おそらく次のレースが最高のレースになると思います」と答えた。最後の最後まで現役アスリートとして努力を続けて突っ走り、そのまま次の人生へ向けて駆け抜けたいという思い。小平奈緒らしい「ラストレース」宣言だ。

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