坂本花織「2度目の大会は自信がある」。北京五輪前に語っていた勝算と下馬評を覆した必然

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

2月18日、会見で満面の笑顔を見せた坂本花織2月18日、会見で満面の笑顔を見せた坂本花織この記事に関連する写真を見る 北京五輪のマスコット「ビンドゥンドゥン」を頭上にかざした坂本花織(21歳、シスメックス)は、満面の笑みを浮かべた。フィギュアスケート女子シングルで、日本人選手として12年ぶりのメダルを獲得し会見に臨んだ姿は、拝みたくなるほどの幸福感に満ちていた。何かをやり遂げた人間だけができる表情で、一点の曇りもなかった。

「本当に今日までよく頑張った、と自分でも思います」

 朗らかな彼女が言うと、いやらしさがないから不思議である。おそらく、少しの飾り気も邪気もないからだろう。本当によく頑張ったんだろうな、と共感を覚えるのだ。

 もっとも、何も考えずに試練も受けず、五輪で銅メダルを勝ち獲れるはずはない。

苦戦から始まった今季

 開幕前、フィギュア女子のメダル争いは「ロシア勢の無敵ぶり」に焦点が当たっていた。ROC(ロシア・オリンピック委員会)の代表になったカミラ・ワリエワ、アンナ・シェルバコワ、アレクサンドラ・トゥルソワの3人は、国内のし烈な競争を勝ち上がった。

 他にも、元世界王者エリザベータ・トゥクタミシェワ、2019年グランプリ(GP)ファイナル優勝のアリョーナ・コストルナヤ、今シーズンGPファイナル進出(コロナ禍で中止)のマイア・フロミフは、3人と比べても遜色がない。4回転、もしくはトリプルアクセルという大技を予定構成に入れ、基礎点で各国選手を引き離していた。

「ROCが表彰台を独占する」

 それが下馬評だった。

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