那須川天心のボクシング3戦目を井上尚弥のいとこ・浩樹が総括「左のカウンターがうまい」「左ストレートやワンツーを当てるシーンが少ない」 (2ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

【同じサウスポーとして「気になる点」】

――天心選手のスピードや、パンチの質はどう見えますか?

「スピードはピカイチだと思います。パンチは......相手にダメージを与えるようなパンチを打とうとしているのか、そういったパンチはあまり積極的に打とうとしてないのか、そのへんの判断はつきかねます。力を込めて打つパンチは、打つ側も当然リスクが伴います。力んだり、ガードが甘くなったりしますから。徹底してスピードで相手を翻弄して戦うほうが、被弾するリスクは抑えられるでしょう。

 そういった戦い方をするには、飛び抜けたスピードと、動き続けるスタミナが必要ですが、天心選手はスタミナもありそうですよね。倒す・倒さないが話題になったりしますが、スピードで相手を寄せつけずに圧倒するボクシングでもいいと思います。選手は、自分の特性に合った戦術を見つけることが大事です」

――ボクシング転向後3戦目で成長の途中だと思いますが、最も力を発揮できるスタイルで戦えばいいということですね。

「そうですね。勝ち方はいろいろありますから。KOするにしても、スピードで圧倒するにしても、なかなかできることではありません」

――天心選手は前戦で左拳を骨折したため、練習ではひたすらシャドーを繰り返したそうです。浩樹選手も、ケガをした際はそういった練習メニューになるのですか?

「そういった経験は山ほどあります。左手が使えなかったら、右手、右足、左足と使える部分を鍛えたり、右のパンチをレベルアップする時間にしたり。練習しないと不安になりがちなので、『できることをやろう』と。ポジティブに考えることが大切だと思いますね」

――浩樹選手も同じサウスポーですが、その視点での天心選手の印象はいかがですか?

「左のカウンターがうまいですね。相手のパンチを絶妙なタイミングで外して打っています。ひとつ気になる点を挙げるとすると、自らステップインして左ストレートやワンツーを当てるシーンが少ないことです。

 相手の右を外して左を返すシーンはよく見ますが、ワンツーで距離を詰めることができそうな時も、ジャブからボディに繋げたりと、下に打つことが多いイメージです。帝拳ジムの大先輩である山中慎介さんのような"踏み込んでのワンツー"、伸びる左ストレートを見てみたいな、と思いますね。左のパンチのキレはすごいので、さらに積極的にワンツーを打てるようになれば、より効果的な攻撃が可能になると思いますね」

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