井上尚弥の次戦が濃厚な相手ルイス・ネリをいとこの浩樹は「難敵」と分析「セオリー通りじゃないところが怖い」 (2ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

――試合は10ラウンドでのKO決着でしたが、判定はよぎりませんでしたか?

「9ラウンドくらいで、『このまま判定まで行くのかな』と思いました」

――尚弥選手の場合は「勝つのが当たり前」と見られていて、「どう勝つのか」を求める声も多いと思います。モチベーションとプレッシャー、両方あると思いますが、近くで見ていてどうですか?

「プレッシャーはあるとは思います。でも、それを跳ね返して、それ以上の力を出すことに尚弥は長けている。戦うための性格をしている、という感じですかね。大きな期待もプラスに働いているんじゃないですか」

――2団体王者で、ディフェンシブになったタパレスを10ラウンドでKO。それでも一部で「苦戦」という声が上がりました。

「たまったもんじゃないですね(笑)。おそらく、戦前のタパレスの評価が、無敗のフルトンより上がらなかったことも影響しているでしょう。僕たちは、以前からタパレスの試合も見ていますから『強くて怖い選手』と思っていましたし、あの(ムロジョン・)アフマダリエフ(※)に勝っている時点ですごい選手。その選手を圧倒して10ラウンドで倒しちゃうんですから、もう何も言いようがないんじゃないかと思いますけどね」

(※)リオデジャネイロ五輪の銅メダリストで、前WBA・IBF世界スーパーバンタム級統一王者。2023年4月8日のタパレス戦で判定負けを喫し、初黒星(11勝8KO・1敗)。王座を陥落した。

――試合後、尚弥選手は「一発、かなり効いたパンチをくらった」とコメントしていましたね。

「どのラウンドだったかは覚えていませんが、タイミング的に『今のは危なそうだった』と思ったパンチが2発くらいありました。どうしても、相手を倒そうと思うとギリギリの攻防になるので、危険な場面は増えますよね。『いかにいいタイミングで打つか』が重要ですが、それは、相手にとってもいいタイミングになることが多い。紙一重の攻防になりますよ」

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