安納サオリがプロレスで闘い続ける理由 俳優を夢見た「やさぐれ時代」の悔しさ (4ページ目)

  • 大楽聡詞●取材・文 text by Dairaku Satoshi
  • 田中亘●撮影photo by Tanaka Wataru

【手にした"強さの象徴"】

――2017年7月30日に初めてベルトを戴冠しましたね。

安納 藤ヶ崎矢子さんと闘って、プリンセス・オブ・プロレスリング王座(POP王座)を獲ることができました。藤ヶ崎さんには同年の4月に1回挑戦して負けていたので、「リベンジさせろ」と言い続けて、ようやく頂点に立つことができた。

 アクトレスガールズとしても初めてのベルトでした。デビューしてから約2年。いろんな経験を経て、スターダムで試合をしていくうちに「強さの象徴となるものが欲しい」と欲が出てきた頃でしたから、このベルトは嬉しかったです。

 会場は名古屋のダイヤモンドホールだったんですが、両親も滋賀県から観戦しに来ていて、すごく喜んでいました。そのベルトを持って実家に帰り、みんなで祝勝会をしたのもよく覚えてます。

――2018年11月には、「アクトレスガールズシングルチャンピオン決定トーナメント」を勝ち上がり、初代アクトレスガールズ(AWG)王座を戴冠します。

安納 アクトレスガールズとして初の後楽園ホールでの大会でしたが、そこで優勝することができた。やっぱり「初代」というのは嬉しかったですよ。

 当時、私は"尖って"いました。「自分さえよければいい」という態度をとっていたので、本当に嫌われていたと思います。でもその行動の裏には、「自分の名が売れたら、アクトレスガールズも知ってもらえる」という考えもあったんですが......必死だったとはいえ、今振り返るとよくない態度をとっていた。"若気の至り"ですね。

――その後、2019年12月30日の新木場大会をもってアクトレスガールズを退団。フリーに転向したのはなぜですか?

安納 いろんなことを経験させていただいたからこそ、新たな挑戦をしたい、まだ見てない世界を見たいと思って。大変だろうけど自分の力でやりたいと思って、フリーランスという形を選びました。

(後編:ノアのリングに立って定めた次の目標とは 盟友への信頼と嫉妬も吐露>>)

【プロフィール】
安納サオリ(あのう・さおり)

1991年2月1日生まれ、滋賀県大津市出身。160㎝56kg。高校卒業後、上京し女優活動。アクトレスガールズの代表に誘われプロレスラーに。2015年5月アクトレスガールズ旗揚げ戦でデビュー。2017年7月、自身初のベルト「プリンセス・オブ・プロレスリング王座」を戴冠。2018年9月に初代AWG王者に輝く。2019年12月にアクトレスガールズ退団、フリーとして活動。2022年6月にはアイスリボンの至宝「ICE×∞王者」を奪取。2023年4月スターダムに6年ぶりに登場。KAIRI・なつぽいとのトリオで「アーティスト・オブ・スターダム王者」に。現在、スターダムでは「COSMIC ANGELS」に所属し、なつぽいとのタッグで「ゴッデス・オブ・スターダム王座」に君臨する。

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