安納サオリがプロレスで闘い続ける理由 俳優を夢見た「やさぐれ時代」の悔しさ (3ページ目)

  • 大楽聡詞●取材・文 text by Dairaku Satoshi
  • 田中亘●撮影photo by Tanaka Wataru

【スターダムで「ここでやらないと、先はない」】

――同年10月11日にはスターダムに参戦しますが、どういった経緯があったんですか?

安納 先ほども言いましたが、私はデビュー戦が終わったら辞めるつもりでした。そんな時に、スターダムの風香さんから「練習に来ない?」と連絡をもらって。それでスターダムの練習に行くようになり、辞めるつもりでいた自分の心境に変化があったんです。

 まず違ったのが人間関係。アクトレスガールズは友達感覚でしたが、スターダムは上下関係がしっかりしていました。そんな中で、みんなが「勝ちたい。他のレスラーに絶対に負けたくない」という気持ちを持っていましたね。

 練習内容もまったく違って、ついていけずに悔しい思いもしました。最初はかなり怒られましたが、それがあったから力をつけられたし、人との接し方も学ぶことができたんです。

――当時所属していたアクトレスガールズを、「スターダムの芸能部門」と認識しているファンもいると思いますが、実際はどうなのでしょうか。

安納 よくそう言われますが、まったく別です。スターダムはスターダムで、アクトレスガールズはアクトレスガールズ。スターダムの系列ではないです。

――アクトレスガールズは、女優さんたちが集まって、リングというステージでプロレスをするというイメージでした。

安納 私もアクトレスガールズはそうだと思っていましたが、徐々に変化していったんです。最初は女優として活動していた人が多かったので、プロレスより舞台に近かったですね。

――スターダムの中野たむ選手やなつぽい選手、ガンバレ☆プロレスのまなせゆうな選手、東京女子プロレスの角田奈穂選手など、現在活躍している女子プロレスラーには、アクトレスガールズ出身の選手が多い印象があります。

安納 特にアクトレスガールズだから、というわけじゃないと思います。私を含め、彼女たちは売れていなかった。私が先ほど話したような「やさぐれ時代」の悔しさを味わった子ばかりなので、「ここでやらないと、先はない」という思いでプロレスをやっていたんです。反骨心の塊なので、元アクトレスガールズメンバーは強いんだと思います。

 私はプロレスに出会い、やさぐれていた気持ちや環境などが徐々に変わっていきました。何より、応援してくださるファンの方が優しくて温かい。だからこそ、その声に応えようという気持ちになりました。

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