「世界のTK」髙阪剛から見た朝倉未来の誤算 適正体重や「磨いたほうがいい」技術についても語った (2ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • photo by 東京スポーツ/アフロ

【朝倉未来がまず強化すべき部分は?】

朝倉未来や日本の格闘技について語った髙阪氏朝倉未来や日本の格闘技について語った髙阪氏この記事に関連する写真を見る――自身も体感したというフィジカル差を埋めるために、髙阪さんがやっていたことはありますか?

「私もフィジカルトレーニングに力を入れていましたし、フィジカルが弱いとは思っていませんでしたが、実際に海外でトップ選手と組んで練習してみると圧倒的な差を突きつけられました。それでも私はヘビー級で戦うと決めていたので、引き続きフィジカル強化にも力を入れつつ、相手の弱点と自分の強みで勝負する"賢い戦略"が必要だと感じました」

――フィジカルで対抗するのではなく、技術や戦略で勝負すると。

「そうですね。相手がフィジカルを100%発揮できないようにすること、つまり"削る"戦術で疲れさせる。例えば、テイクダウンを成功させてからパウンドを落として、相手が立ち上がる動きを封じるとか。そうすることで、スタンドに戻った際に相手が疲れているので、次の展開が有利になります。

 ただ、最初から全員がそれをできるわけではありません。相手を疲れさせるためのさまざまな手段と戦術については、私も多くの時間を費やして練習していました」

――髙阪選手から見て、現時点で未来選手は何から強化したらよさそうですか?

「未来選手が自分から組みにいくことも必要なんですけど、単純に足を取りにいくタックルは現実的ではないかもしれません。それよりも、四つ組から相手のバックを取る、スタンドバックを狙う動きを磨いたほうがいいかもしれない。それによって、相手がその動きを嫌って足が空き、下へのタックルも効いてくる。そういう流れも生まれやすくなると思います。

 四つ組からのスタンドバックは、今の総合格闘技ではスタンダードにはなっていますけど、それでも効果的なんです。特にストライカーが組みにいくと、相手は一瞬『打撃のプレッシャーから解放された』と感じるので、その心の隙を狙うこともできると思いますよ」

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