122連勝・藤波朱理が負ける日は来るのか? 吉田沙保里や伊調馨に学ぶ「もっと強くなるには、早く負けること」 (4ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by AFLO

【伊調馨も0-10で完敗の過去】

 東京オリンピック前の須﨑に、伊調はこうアドバイスした。

「若いうちにチャンピオンの肩書きもプライドも捨てて、ガムシャラにやったほうがいい。もっと強くなるには、早く負けることです」

 そして伊調自身も、4連覇を達成したリオデジャネイロオリンピックの7カ月前、国際大会で0-10のテクニカルフォール負けを喫すると、きっぱりと言いきった。

「この負けはチャンス! 成長のきっかけにします」

 マスコミが『霊長類最強女子・吉田沙保里を抜いた!』『次はオリンピックV4伊調馨の189連勝(2003〜16年、負傷による不戦敗を除く)超えか!』とあおっても、藤波本人は記録に無関心だ。

「特に何も思っていません。オリンピックで優勝することが、自分のなかでは一番の目標なので」

 魔物が棲むと言われるオリンピックで金メダルを掴むために、今、藤波朱理に必要なことは、一度負けて地獄に突き落とされることか。そして、そこから死に物狂いで這い上がってくることか──。連勝が止まったあと、藤波がどのように成長していくのか、見てみたい。

プロフィール

  • 宮崎俊哉

    宮崎俊哉 (みやざき・としや)

    ライター。1962年8月5日生まれ、東京都出身。レスリング取材歴31年。1996年アトランタ大会からすべてのオリンピックを現地取材。著書に『京子! アテネへの道』(ぴあ)、『京子! いざ!北京』(阪急コミュニケーションズ)など。構成として吉田沙保里の『明日へのタックル!』(集英社)、『一日一日、強くなる~伊調馨の「壁を乗り越える」言葉(講談社)など。

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