大学ラグビーの雄「ワセダ」は強くなったのか。監督が「あえて完成度を高めていない」と言った意図は? (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

メイジは夏に思わぬ落とし穴

 一方、昨季3位だった明治大も今季の優勝候補だ。対抗戦初戦は難敵・筑波大と接戦を演じるが、後半に「大学生唯一のオリンピアン」WTB石田吉平(4年)がトライを挙げて33−22で退けた。

 昨季の明治大も、早稲田大と同様に神鳥裕之監督が就任1年目のシーズンだった。

 春から走り込みを重ねて、フィットネスに自信をつけて臨んだ。だが、関東対抗戦、大学選手権決勝でともに帝京大に敗退。その反省を踏まえて、今季は走り込みをやりつつも、ウェイトトレーニングを週5回・1時間半に増やしてフィジカル強化も図ってきた。

 スクラムやラインアウトといったセットプレーは、変わらず滝澤佳之コーチの下で継続的に強化。春は帝京大に35−26で勝利し、地力があるところを見せた。ただ、夏合宿ではコンディション不良の選手が続出し、天理大に12−12、帝京大に19−54と、プランどおりの強化は果たせなかった。

 ただ、今シーズンの明治大の戦力は厚い。PR為房慶次朗(3年)、LO山本嶺二郎(3年)、N0.8木戸大士郎(2年)、SO伊藤耕太郎(3年)、CTB廣瀬雄也(3年)と、昨季や一昨季から試合に出ていた世代トップクラス選手が揃う。個々の能力や経験値は高いだけに、対抗戦を戦いながら夏合宿の遅れを取り戻していけば頂点も見えてくるだろう。

 昨季4位だった「黒黄」慶應義塾大は開幕戦、日本体育大に43−8で快勝した。伝統的にタックルを武器とするチームは今季、FL今野勇久主将(4年)を先頭に「タックルだけでなくボールを奪い返すこと」に注力してきた。

 また、SO永山淳(3年)のロングキックを武器に、相手陣で戦うことを意識しているという。得点源であるFWのモールだけでなく、BKにはFB山田響(3年)などスピードのある選手も多いので、トライを取りきるアタック力は魅力だ。栗原徹監督体制も4年目を迎え、勝負の年を迎えている。

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