平野美宇と伊藤美誠のパリ五輪選考レース最終局面 女子卓球シングルス枠をつかむのは? (3ページ目)

  • 井本佳孝 取材・文 text byImoto Yoshitaka

 出場回避も考えられた中でエントリーした今大会は、さらなるレベルアップに向けた戦いとなるが、平野と伊藤も優勝争いに高いモチベーションで加わってくるだろう。24.5点の僅差で伊藤をリードする平野は、直近のTリーグ終了後、「コンディション的には普通くらい」とコメントした。

 平野は11月4日のTリーグで、今季初のシングルス初黒星。翌週のTリーグでも2ゲームを先取される試合(結果は4-2と逆転)があるなど、調子は「普通」という言葉どおりかもしれない。ただ、「これから全日本(選手権)までの戦いは気持ちの勝負。調子がよくても悪くても気持ちで勝敗が変わる」とも語っていたように、メンタル面を整えて大会に臨みたいところだ。

 それに対して伊藤は、11月5日までドイツで行なわれた「WTTフランクフルト」でベスト8に入って以降、Tリーグの試合にも出場していない。選考会に照準を合わせ、コンディションを整えている可能性もある。

 伊藤にとって今大会のヤマ場となりそうなのは準々決勝。順調に勝ち上がれば、そこで世界ランキング14位の張本美和と対戦することが濃厚だ。平野との直接対決があるとしたら準決勝になるが、その前に勢いのある若手を退けられるかにも注目が集まる。

 今回の第6回選考会では、優勝者から4位まで順に100点、90点、80点、70点とポイントが与えられる。来年1月の全日本選手権では優勝者に120点、2位は100点、ベスト4進出者には80点が加算される。中国トップ3選手に対する勝利ポイントやTリーグでの勝利ポイントもあるため、最終決着は全日本選手権にもつれ込むだろうが、今大会での早期敗退は致命的だ。

 2023年最後の選考会で、同級生として長くしのぎを削ってきた平野と伊藤にどんな展開が待ち受けているのか。来年の全日本選手権を占う意味でも、2人の戦いから目が離せない。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る