富樫勇樹に海外メディアから質問が集中 東アジアスーパーリーグで見たBリーグ人気 (2ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka

「彼はEASLのグループリーグ、台北富邦ブレーブスとの試合(2023年10月18日、延長の末に千葉が85−82で勝利)の最後に、勝負を決定づけるシュートを決めて、その試合では38点も得点しているし、日本代表でも長年活躍しているよね。だから彼はジェッツの『蛇の頭』。われわれとしても彼を抑える方策を見つけなければならない。それができなかったら彼にやりたいようにされてしまう」

『蛇の頭』とは軍隊や戦争などに関連した会話等で用いられる英語のフレーズ。敵方のリーダーなどを指す言葉で、そこさえ攻略すれば、あとは倒すのは簡単だという意味。多少大げさに表現するならば、富樫が千葉というチームそのものなのだと相手からは見られているということになる。

 この後、兄ジェレミーに対して、「ジョセフが富樫を『蛇の頭』と話していたが、あなたも同じ意見か」と問うと、弟とよく似た笑顔で「僕だけじゃなくてチーム全体がそう考えているはずだよ」と話した。

富樫勇樹(千葉ジェッツ)のプレーに海外のファンから感嘆のため息がもれる photo by ©EASL富樫勇樹(千葉ジェッツ)のプレーに海外のファンから感嘆のため息がもれる photo by ©EASLこの記事に関連する写真を見る

 身長を含めた体の大きさが物を言う側面のあるバスケットボールで、167cmの富樫が身長の不利をものともせずリングへのドライブから、あるいはさまざまな技を駆使してねじ込む3Pシュートで得点を決める姿が、彼を日本屈指のスター選手たらしめている。彼のプレーの雄弁さは、どうやらアジアの周辺諸国にも及んでいるということなのだろう。

 ジョセフ・リンは身長182cm、体重69kgと自身も体躯に恵まれていないが、それよりもさらに小柄な富樫が高いレベルでプレーをしていることに、尊敬の念を抱きながらこう語った。

「僕もポイントガードとしては小柄なほうで細いから、彼がどのように感じながらプレーをしているかはよくわかるよ。彼は僕よりも身長が低いわけだけど、小さな選手は何かしら生きる手立てを考えなければならない。

 僕も彼もものすごく高く跳べるわけではないし、だからこそ他の技術を磨かなければならないわけだけど、彼はそれをとてもよくできていると思うし、彼のスピードや切り込んでいく技術などはステフィン・カリー(NBAゴールデンステイト・ウォリアーズ)のようでもあるね」

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