富永啓生の決断は「本当に最後の最後」 NBA挑戦は持ち越しもネブラスカのファンは大歓喜 (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 ただ、NBAのレベルは恐ろしく高い。今では富永もカレッジレベルでは「優秀なスコアラー」と称されるようになったが、あくまでNBAを基準にした場合、課題は少なくないのが現実である。

 渡邊雄太をして「日本の中ではずば抜けている」と言わしめたシュート力は大きな武器だとしても、それ以外のさまざまな部分でレベルアップが必要。心強いのは、誰よりも富永自身がそれに気づいていることだ。今回のペイサーズでのワークアウトでも自身に足りないものを感じたあとで、具体的な課題の克服を今後の目標としてはっきりと掲げている。

「身体を作るということでウェイトトレーニングをしっかりやっています。それ以外にもディフェンス、ハンドリングスキル、パススキルであったり、シュート以外の部分はほとんどですね。

 それを、もっともっとレベルアップすることによって自分のプレースタイルも変わってくる。(シューティングガードとしては)身長がないほうなんで、クイックネスもレベルアップできたらと思っています」

 強靭な選手たちに当たり負けしないために、フィジカル強化は必須になる。オフの間、ウェイトトレーニングで体重を3キロ前後増やした富永は、80キロ超まで身体を大きくしたという。

 同時に身体のバネ、しなやかさを保ち、ガード選手としてのスキルも確実にアップさせていかなければいけない。それらは容易なことではないが、難しい作業をやり遂げた時にさらに上の世界が見えてくる。

 目論見通りに成長するために、日本代表の一員として臨む今夏のW杯、その後に待ち受けるビッグ10カンファレンスの戦いは最高の場。だからこそ、富永はカレッジの舞台に戻ることを決めたのだろう。

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