【女子バスケ】渡嘉敷来夢が語る!「日本はリオ五輪でも通用する」 (2ページ目)

  • 小永吉陽子●取材・文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

 しかし、準決勝までは我慢を強いられるロースコアの展開が続く。渡嘉敷がシアトルから合流したばかりですぐには噛み合わず、チームプレーを構築する時間が必要だったからだ。大会前、渡嘉敷とインサイドでコンビを組む間宮佑圭(JX-ENEOS)は「タク(渡嘉敷)が私たちに合わせてほしい」と要求していたが、苦戦した予選ラウンドのチャイニーズ・タイペイ戦のあとはその戦い方を軌道修正している。

「私たちは6月からチーム練習をしているのに、直前に合流したタク(渡嘉敷)にすぐに合わせろというのは、難しいとやっているうちに感じました。タクは試合の流れを読むのがうまいので、要所で好きに1対1をやってくれればいい。そうした上でインサイドがチームの軸になれるように、私自身も吹っ切ります」(間宮)

 迷いを断ち切った渡嘉敷は、予選ラウンドと決勝の二度にわたる中国戦で威力を発揮。決勝では中国の高さを抑えるディフェンスを冷静にやり遂げ、18得点、7リバウンド、2ブロックショットと活躍。大会を通してチーム力を構築していった日本はついに爆発した。司令塔の吉田亜沙美(JX-ENEOS)がスピード感あるゲームを作り、間宮がディフェンスとリバウンドでチームを支え、本川紗奈生(シャンソン化粧品)と山本千夏(富士通)の両ウイングが躍動。そして最後に絶対的エースの渡嘉敷が融合し、日本のテーマである"勢い"が出た。

 大会前に「自分がやってやる!」と宣言していた渡嘉敷は、心から欲していた金メダルを胸にしたとき「日本を背負うということはこういうものなんだ」と、みずからに言い聞かせていた。大会終了後、シアトルに戻る直前に聞いた渡嘉敷来夢の声を紹介する。

――アジアで優勝して今の気持ちは?

渡嘉敷来夢(以下、渡嘉敷) 勝ててよかった。今はホッとしています。

――オリンピック出場を決めたことに実感は沸いていますか?

渡嘉敷 今は実感が沸かないです。とにかく、勝たなきゃ、勝たなきゃというプレッシャーが大きくて、今はそのプレッシャーから解放されたことにホッとしています。やっぱり、自分はWNBAでプレーしている分、やらなくてはいけないというプレッシャーがすごくあったので、そんな中で勝てたことに涙が出そうなくらいにうれしいです。

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