角田裕毅、スワップ騒動を経て「雨降って地固まる」 ニューマシンはQ3突破&ポイント奪取の能力高し (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【RBの選んだ戦略が間違っていたわけではない】

 角田自身にとっても、自身の完成形を見せるという決意のもと、クオリティを何よりも重視して臨んだシーズンだ。まだ自分に足りない部分があることを突きつけられると同時に、この程度のことで揺らいでいてはいけないという戒めにもなった。

 こうして世間がいまだに騒がしくしているなかで、当のRBチームと角田、リカルドはさっさと問題を解決して改善し、次に進んでいる。

 もちろん戦略面のミスに関しても、タイヤのデグラデーション(性能低下)に関する分析不足に加えて、タイトな中団グループで前を走っていただけに攻めた戦略を採ることができず、後方からギャンブル的な戦略で大当たりを出したドライバーに対して身動きが取れず、不利な状況だったことも災いした。

 マグヌッセンの前でコースに戻り、翌周も抜かれることなくそのポジションを維持できていれば、間違いなく周冠宇(ジョウ・グアンユー/ステーク)はパスして11位になれた。また純粋なペースがよければ、ランス・ストロール(アストンマーティン)に追いついて10位を奪い取れたかもしれない。

 不利な状況のなかでも、RBが選んだ戦略は決して大きく間違っていたわけではない。ただし、デグラデーションが予想以上に大きかったことや、思いのほか競争力のあったマグヌッセンの動きなど、外的要因に恵まれなかった。

 いずれにしても、RBが予選で中団グループ上位にいて、ドライバーのがんばり次第ではQ3に行けるパフォーマンスと、決勝でもレース全体をうまくまとめ上げれば入賞圏に絡む戦いができるということは確かだ。そういうポジティブな要素にも目を向けつつ、第2戦サウジアラビアGPでリベンジを誓う。

「もちろんポイントを目指してがんばりたいと思っていますけど、正直に言ってまだ新しいクルマに対する理解を進めている段階です。その理解を限りなく100パーセントに近いところまで、最大限に深めることがまずは第一です。

 クルマがこのサーキットに合うかどうかわりませんけど、合っていた場合はポイントを目指してがんばりたい。合わなかったとしても自分の力を最大限に出して、クルマの限界を引き出せるようなレースをしたいと思います」

プロフィール

  • 米家峰起

    米家峰起 (よねや・みねおき)

    F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。

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