角田裕毅、スワップ騒動を経て「雨降って地固まる」 ニューマシンはQ3突破&ポイント奪取の能力高し (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【ドライバースワップのルールが守られなかった理由】

 チームに対する不満は不満として、指示に対する無線での反応やクールダウンラップでのドライビングなど、自分にもよくない部分があったという自責の思考で改善点を見詰め直したと角田は言う。

「ターン8はテストの時からロックアップしやすいコーナーでしたし、たまたまロックアップしただけなのが変なふうに見えてしまったかなと思いますけど、あれはあれで不必要なことではありますし、そういうことはなくしていくということですね。僕は僕で、自分がやってしまったというか反省点を見詰め直して、次は絶対に繰り返さないように、これからにつなげていくつもりです」

 リカルドの側も、無線でのやりとりなどについて反省点はあるとしている。

 そしてチームの側も、ドライバースワップのやり方に問題があった。指示を出すタイミングも遅ければ、実行するタイミングも遅かった。そして追い抜きができなかったにもかかわらず、ポジションを戻す指示を出さなかった。

 実は、これは従来からチーム内で行なわれてきたドライバースワップ時のルールには反するやり方だったという。しかしRBはチームCEO、チーム代表、レーシングディレクターといったように、ピットウォールの半数近くが入れ替わっており、バーレーンGPが新しい首脳陣で臨む初めてのレースだった。そのせいで、既存のルールが徹底されなかったのだ。

 その点も、従来のルールが正規のスワップ方法であり、今回のミスを認めたうえで、今後は従来のルールに沿って行なっていくという再確認が取られた。

 加えて、最も不利益を被ることになった角田に対しては、レース直後にローラン・メキース代表が個別に面談してお互いの意見を交わし、理解を深め合ういい機会になったという。

「彼は僕に対して怒るわけでもなく、ただチームに理解してほしいということでした。僕も意見を伝えて、お互い怒りをぶつけ合うこともまったくなかった。理解を深め合って、できるだけ同じように足並みを揃えて再出発しようという話をしました」

 ある意味では、雨降って地固まる。新体制のチームにとっては、早い段階でこのショック療法を取っておくことは、かえってよかったのかもしれない。

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