角田裕毅、アブダビの衝撃!など「成長を感じさせた」2023年 F1ジャーナリストは「ミス以上に見るものをワクワクさせた」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【5】アブダビの衝撃。角田裕毅がキャリア初のトップ快走!

 3年目の角田裕毅(アルファタウリ)は、総じて言えば予選での速さがあり、決勝でも成熟したレース運びを見せていました。

 たしかにメキシコシティGPやオランダGP、シンガポールGPで接触など、避けられたミスもいくつかあったため、まだまだ未成熟だという印象もあります。

 しかし、チームリーダーとしての意識が強かったシーズン序盤戦のマシン性能を上回るような走りっぷりや集中力、マシン性能が上がったシーズン終盤戦のダニエル・リカルドを圧倒する入賞の数々、そしてアメリカGP最終ラップのファステスト記録など、プラスの面に目を向ければ十分に成長を感じさせる1年だったと言えます。

 そのなかでも最終戦アブダビGPで、ランキング7位を奪還するためにチーム一丸となって1ストップ作戦で6位を獲りにいったレースは、レースそのものだけでなく「レース週末全体の内容」という点で最も印象的でした。

 結果こそ8位に終わり、2ストップ作戦を採っていれば7位だったのに、という声もありました。ですが「結果がすべて」というなら、7位フィニッシュでもランキング7位は獲れないので「結果は敗北」だったのですから、1ストップで大逆転の6位を狙うとチームが判断を下したことは尊重すべきです。

 そのなかで角田は、タイヤをうまく保たせて走り、5周にわたってトップを快走。最後は8位まで後退したものの、今までなら抜かれていくことにフラストレーションを爆発させていたであろうシチュエーションでも耐えて、最終ラップにルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)を抜き返す走りを見せました。

 シーズン中盤やメキシコシティGPでもすべてあのようなレースができていれば、たしかに完璧なシーズンだったでしょう。が、いくつかのミス以上に見るものをワクワクさせてくれたのが、2023年の角田裕毅だったと思います。

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