元ホンダF1山本雅史の2023総括 フェルスタッペンは「バケモノ」 では「大物」と「努力賞」は? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

── 2022年に4勝を挙げたフェラーリは、予選では健闘するものの、結局シンガポールGPの1勝のみにとどまりました。

「フェラーリはいい意味で予測を裏切らなかった(苦笑)。クルマのルックスは格好よくて僕も好きだし、予選は本当に速かったけど、決勝にもっと重きを置いてタイヤに優しいクルマを作れば、(シャルル・)ルクレールはマックスといい勝負ができたんじゃないかなと感じる場面は何度もありましたよね。

 ラスベガスGP(第22戦)でマックスがルクレールを抜いたと思ったら、レイトブレーキでルクレールがもう一度前に来るみたいなシーンがありましたけど、あれでこそトップドライバーなんですよね。最終ラップのチェコを抜いた飛び込みしかり、マックスがいなければルクレールがワールドチャンピオンになっていてもおかしくないなと確信しました」

── メルセデスAMGは2年続けて「ゼロポッド」と呼ばれるマシンコンセプトで失敗しました。

「メルセデスAMGは今年もマシン開発でつなずいてしまいましたけど、個人的にはゼロポッドを熟成しきってほしかったなと思いました。あのポテンシャルがどこまであるのか、それを出しきって勝ちきるメルセデスAMGらしい姿が見たかった。

 でもドライバーからの不平不満もあって、さすがにもう変えざるを得なくなってしまったんだと思います、だけど、後半戦はオースティン(第19戦アメリカGP)やメキシコ(第20戦)など、ルイス(・ハミルトン)が優勝できるかもしれないと思わせてくれたレースもいくつかあったし、そこはさすが7冠王者だなと思いました。

 その一方で、少し安定感がなかったところもあった。毎戦スイッチが入ってくれるとよかったかなと思いましたね」

── 驚きだったのは、前半はアストンマーティン、後半はマクラーレンが大躍進したことでした。

「シーズン序盤に連続表彰台を獲得したベテラン、フェルナンド・アロンソがすごくシーズンを盛り上げてくれたのは印象的でしたね。一方のマクラーレンは序盤、『どうなっちゃっているの?』という状況でしたけど、そこからのV字回復もすごかった。

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