MotoGP開幕戦「欧州vs日本」の格差は歴然...ホンダのポテンシャルは6度王者のマルケスが無理して転倒するほど (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • photo by Nishimura Akira, ©Ducati, ©Michelin

【マルケスに大きなブーイング】

 一方、土曜午前の予選でポールポジションを獲得し、スプリントレースではバイクの厳しい戦闘力を技術でねじ伏せてなんとか3位に食い込んだマルケスはというと、この決勝レースで序盤に転倒を喫してリタイアとなった。

 単独の転倒ではなく、右へ旋回する3コーナーで直前を走行していたホルヘ・マルティン(Prima Pramac Racing/Ducati)に接触してオーバーランさせ、さらに地元ポルトガル出身ライダーで表彰台争いも期待されていたミゲル・オリベイラ(CryptoDATA RNF MotoGP Team/Aprilia)に追突して転倒させてしまったものだから、観客からはマルケスに大きなブーイングの声が上がった。

転倒したマルケスは右手を負傷して次戦欠場転倒したマルケスは右手を負傷して次戦欠場この記事に関連する写真を見る「ブレーキング時にフロントタイヤがロックしたので、ブレーキをリリースして左へ向かおうとしたけれども、バイクは(旋回で)寝た状態のままで、右方向への動きを避けることができなかった。ミゲルとチーム、ファンには本当に申し訳なく思う。この過失で2回のロングラップペナルティが科されることになったけれども、その処分は当然のこととして受け入れる」

 ブレーキングで頑張る以外に勝負できる方法がない、と土曜のスプリントレース後に話していたことが、日曜の決勝レースでは見事なまでに裏目に出てしまった格好だ。

 6度のMotoGPタイトルを獲得してきたマルケスが、それほどの無理を強いられているのが現状のホンダのポテンシャルで、その無理がマシンの限界を超えて破綻した、ということでもあるだろう。

 マルケス以外のホンダライダーは、アレックス・リンス(LCR Honda CASTROL)が10位、ジョアン・ミル(Repsol Honda Team)が11位、中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)が12位で終えている。

 昨年の終盤3戦で2勝を飾ったリンスと2020年のチャンピオンライダー、ミルのレース結果がこの位置、というところにも、現在の欧州メーカーと日本メーカーの〈格差〉が象徴的にあらわれている。

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