F1参戦10チーム&ドライバー紹介・前編「レッドブル、フェラーリ、メルセデスAMGの力関係は?」「中団グループ台風の目は?」 (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

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 中団トップの座をアルピーヌに奪われたマクラーレンは、昨年末にチーム代表のアンドレアス・ザイドルがザウバーへ移籍し、アンドレア・ステラがチーム代表昇格というかたちを取った。ただ、ステラはレーシングディレクターとしての職務をそのまま継続しており、実質的にチーム体制に変化はない。

 ブルース・マクラーレンによるチーム創設から60周年を記念してMCL60と命名されたマシンは、昨年序盤戦にスイッチしたレッドブル型コンセプトを継続したもの。発表会時点では未完成ともいえる状態であり、これからの開発計画のほうが重要であるとしている。

 だが、開幕前テストではフロントタイヤフェアリングの強度不足が露呈し、10チームのなかで最も周回数を稼ぐことができなかった。昨年のブレーキダクト排出口とは別問題とはいえ、開幕前に周回数を稼げずデータ不足とセットアップ不足が成績不振と開発計画の後れにつながる、という昨年同様の苦境に立たされてしまった。

 5年目を迎えるランド・ノリスは昨年も中団グループで唯一の表彰台を獲得しており、実力は極めて高く評価されている。2021年に何度も獲り逃した初優勝を狙いたいところだが、今季は難しくとも数年以内にそれが可能であるという兆しをチームが見せられなければ、新天地を求めていく可能性もある。

 一方、新人のオスカー・ピアストリはFIA F2、FIA F3を圧倒的な速さと強さで1年で制したエリートであり、シャルル・ルクレールやジョージ・ラッセルと同等の才能。アルピーヌからのデビューを拒絶してマクラーレンを選んだ彼がノリスを相手にどんな走りを見せるのか。マクラーレンはドライバーふたりの関係値にも注目が集まる。


<No.4/ランド・ノリス>
1999年11月13日生まれ(23歳)イギリス国籍。F1経歴=マクラーレン(2019〜)。最高位=3位。2022年ドライバーズランキング7位。

<No.81/オスカー・ピアストリ>
2001年4月6日生まれ(21歳)オーストラリア国籍。F1経歴=マクラーレン(2023〜)。2021年FIA F2王者。


◆後編>>「角田裕毅にエースの自覚?」「アルファタウリは弱点を克服した?」

プロフィール

  • 米家峰起

    米家峰起 (よねや・みねおき)

    F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。

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