MotoGP今シーズン初テストで見えた2023勢力図。王者ドゥカティと日本勢ヤマハ&ホンダのタイム差は? (4ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • photo by Nishimura Akira, ©MotoGP.com

7度目の年間チャンピオンを目指すマルケス7度目の年間チャンピオンを目指すマルケスこの記事に関連する写真を見る ミルとリンスはともにスズキがMotoGPから撤退したことに伴うホンダ移籍だが、彼らにとって心強いのは、スズキで技術監督を勤めていた河内健が同社を退社し、HRCのテクニカルマネージャーに就任したことだ。

「ケンさんは段取りがうまく、スズキ時代はそれがとても成功していた。彼のアイデアとやり方をホンダがうまく取り入れて、ミックスさせてもらいたい。ケンさんが来たら一気にバイクがよくなるというものではないし、今のMotoGPでは0.5秒を詰めるのは大変な作業だけど、皆が着実に取り組んでいる」(ミル)

「ホンダにいいものをもたらしてくれると思う。経験と知識が豊富な人なので、それをホンダにうまく合わせこんでいってもらえれば、きっとうまくいくはず。去年のホンダは厳しいシーズンで、バイクを改善するために全員が懸命に頑張っているので、少しずつ速くなっていくと信じている」(リンス)

 と、両選手ともに、旧知の日本人熟練技術者と再び仕事に取り組める期待感を述べた。

 完全復活とタイトル争い復帰を目指すマルケスも、今回はHRCの新体制構築に協力して徹底的に走り込んだ、と3日間のテストを振り返った。

「新しいテクニカルマネージャーは(バイクに対する)理解を深めることが必要なので、そのためにさまざまなことを試した。だから、『なぜこれを試すのか』とこちらから訊ねるようなことはせず、言われるまま走ってコメントを提供することに徹した。この3日間のテストで収集した情報を有効に生かしてもらって、次のテストで前進を果たしたい。

 今回は数年ぶりにいい体調で臨めたので、コメント内容も正確なものを提供できた。初日に4台のマシンからスタートして、2日目は3台に絞り込み、3日目には2台を選んだ。そのどちらがいいかという方向性もすでに決めている。何よりいい体調で走れたという意味で重要なテストだった。バイクは複数用意できるけれども、カラダはひとつしかないのだから」

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