松下信治が後輩・角田裕毅にあえて厳しい言葉。「トップで花を咲かせるには圧倒的な武器が必要」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【角田がF1で生き残るためには】

 一方でルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)は2007年のデビュー以来、初めて無勝利のシーズンを過ごすことになった。だが、ハミルトンの腕が衰えたとは思わないと松下は見る。

「僕的に現時点で、ハミルトンはF1史上最もグレートなドライバーだと思っている。彼もジョージも100%ちゃんと集中できる状態になった時でないと、正確な評価はできないのかなと。

 今年はマシンがバラバラな状態だから、その状況でどちらのほうが速いという評価しても、来年はまた別の話になると思います。チーム内部にいるわけではないから、この苦境から挽回する なかで、どちらのドライバーの貢献度が大きかったのかもわからない。外から見ているだけでは、どっちのドライバーがいいのかは判断できないと思います」

 2年目の角田裕毅(アルファタウリ)はマシン性能が奮わず、入賞はわずか4回。ランキングも17位と苦しいシーズンを強いられた。

 ドライバーとしての成長は間違いなく見られたが、もっと上を目指すのならライバルを圧倒するような何かが必要だと、松下は叱咤激励する。

「今年の裕毅を見ていると、F1に慣れてきてチームにファミリー感が出てきたのは明らかに感じられた。それによってパフォーマンスが上がってきたところもあったと思います。

 ただ、僕は完全に彼の味方で『頑張ってほしい』という思いがあるから言うけれど、F1という世界で生き残っていくためには、ここからさらにステップを上げていく必要がある。そのための『コイツはやっぱりスゲぇな』っていうシーンは、2022年は少なかったように思います」

 チームメイトのピエール・ガスリーに対して、予選では対等の走りを見せたものの、決勝では不運や戦略ミスもあって、角田はガスリーの半分のポイントにとどまった。ガスリーがアルピーヌに抜擢されたように、角田がトップチームに移籍して花を咲かせるためには「"武器"が必要だ」と松下は指摘する。

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