MotoGPシーズン総括。撤退で考えるスズキ経営陣の「文化」への姿勢と来季日本メーカーの正念場 (4ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • photo by Nishimura Akira, MotoGP.com

圧巻の勝利を飾ったアレックス・リンス圧巻の勝利を飾ったアレックス・リンスこの記事に関連する写真を見る そしてMotoGP最終戦が終わった翌々日の11月8日、バレンシアサーキットでは2023年に向けた最初のテストが行なわれた。

 来シーズンの陣容は、意気軒昂なドゥカティが4チーム8台、同じくイタリア勢のアプリリアが2チーム4台、オーストリアのKTMも2チーム4台、と欧州勢は3メーカー8チーム16台となる。一方、日本メーカーはスズキの撤退により、ホンダが2チーム4台、ヤマハは1チーム2台、と2メーカー3チーム6台。欧vs日、で比較すると日本メーカーは明らかに劣勢である。

 ホンダ勢では負傷と手術から復帰してきたマルク・マルケスが本格的に復調しそうだが、このテストで得たマシンの感触はというと、来年に向けて日本の開発陣が懸命に努力をしている、と気遣いを見せながらも、「今日のテストで乗ったこのバイクでは、チャンピオンシップを争うことはできない」と厳しい評価を与えている。

 また、タイトル奪還を目指すヤマハのクアルタラロも、2日前の最終戦決勝レースで走ったエンジンとパワーに大差はなかったと話し、さらに「今日のテストがムダだったとは言わないが、奇妙な印象の一日だった。何かが噛み合っていないので、こういう形で一年の走行を締めくくりたくはなかった」と忌憚のない意見を述べた。

 すでに述べたとおり、2023年の日本メーカーは数のうえでは明らかに劣勢となる。数で勝る欧州勢に対抗してホンダとヤマハが強靱なプレゼンスを発揮しようと思うのであれば、卓越した能力を持つマルケスとクアルタラロがその才能を存分に発揮することのできるバイクに仕上げることは必須条件だ。

 2月上旬にマレーシア・セパンサーキットでプレシーズンテストが行なわれるまでの約3カ月は、世間的にはシーズンオフだが、ホンダとヤマハにとってはまさに正念場の天王山となるだろう。

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