アンカツ選定、衝撃の「3歳牡馬番付」 群雄割拠のクラシックをどう読み解いたのか? (2ページ目)

  • 新山藍朗●取材・構成 text by Niiyama Airo

この記事に関連する写真を見る横綱:シックスペンス(牡3歳)
(父キズナ/戦績:3戦3勝)

 自らの経験から言わせてもらうと、GIを勝つような馬はどこかで記憶に残るような強い競馬をしているもの。仮に負けても、レースぶりに光るものがあったりする。

 その視点を重視すると、今年、最も可能性を感じるのはこの馬だ。馬自身の状態を鑑みて、皐月賞はスキップすることになったが、この世代の横綱には同馬を指名したい。

 とにかく、前走のGIIスプリングS(3月17日/中山・芝1800m)が圧巻だった。ただ強かったというだけでなく、レースぶりにインパクトがあった。

 スローペースのなか、道中ずっと3番手で折り合って、直線で追い出されると、みるみると後続を引き離していった。結果、2着に3馬身半差をつけての完勝。今年、こういう強い競馬をした馬を見たことがなかった。それだけに、余計に印象が残っている。

 デビューから無傷の3連勝。負けていない、というのがまたいい。前走を見る限り、一戦ごとにレースがうまくなっている、というところもある。

 スプリングSの勝ち時計(1分49秒4)自体は大したことがないし、メンバーレベルも疑問符がつく。それに、ここまでの3戦すべてが中山ゆえ、中山が得意なだけ、と見る向きもあるかもしれない。

 それでも、父キズナで距離延長には不安がない。改めて、皐月賞に出走しないのは残念だが、ダービーでは間違いなく有力候補の1頭だ。

大関:シンエンペラー(牡3歳)
(父シユーニ/戦績:4戦2勝、2着2回)

 今年の3歳牡馬のなかで、最も注目していたのはこの馬。凱旋門賞馬の全弟という超良血なのだから、それも当然だろう。しかし、その注目度の高さを思うと、成績的には「もうひとつ」といった印象が拭えない。

 とりわけ、ここ2戦が期待外れだった。前々走のホープフルSは牝馬に屈し、巻き返しが期待された前走のGII弥生賞(3月3日/中山・芝2000m)では6番人気の伏兵に完敗を喫した。

 おかげで「評判ほどの馬じゃない」といった声も出てきているが、自分は世代2番手の大関に推したい。

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