高松宮記念で評判の2頭 戦国時代のスプリント路線に終止符を打つ絶対王者は誕生するか? (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo

 そのうえで、その認識が「正しかった」と証明されたのが、前走のシルクロードS。スプリント路線のトップクラスをまったく寄せつけなかった走りは、多くのファン、関係者の度肝を抜いた。専門紙記者が言う。

「(シルクロードSでは)2番手から直線でいち早く先頭に立って、そのまま押しきった。あのレースは強かった。もともと『走る』と言われていた馬が、ようやく本領を発揮した、という感じでしたね。

 未完成だった馬が完成期に入った。おそらく、今がひとつのピーク。前走後の調教を見ても、迫力満点の動きを披露し、さらに一段階、馬がよくなった印象があります。この勢いは、他の実績馬にも、トウシンマカオにとっても、脅威だと思います」

 振り返れば過去2年、高松宮記念は馬場悪化によって、大波乱の結果に終わっている。それはつまり、雨が降りやすいこの時期の天候や、開催最終週であることによる、ひと筋縄ではいかない荒れ馬場を味方につけなければ、勝てないレース、ということだ。

 だが、"王者"として君臨するような名馬は元来、荒れ馬場も、トラックバイアスも、モノともしない。

 トウシンマカオとルガル――。はたして、この2頭は中京の荒れた馬場も難なくこなし、屈強なライバルたちをねじ伏せることができるのか。

 長く続く群雄割拠の様相に終始を打ち、スプリント界に新たなスターが誕生することを期待したい。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る