天皇賞・秋「世界No.1ホース」イクイノックスに死角はあるか、あえて探ってみた (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo

 とはいえ、こうした不安にしろ、あくまでも重箱の隅をつつく程度のもの。昨年の天皇賞・秋を思い返せば、直線を迎えても10馬身以上の差をつけて逃げていたパンサラッサをただ一頭、驚異的な末脚を繰り出してイクイノックスだけがかわした。結果的には、1馬身差をつけての勝利である。

 この時のイクイノックスの末脚は、それこそ異次元。同馬を相手に、先行する馬の「セーフティーリードなどない」ということを思い知らされた。

 良発表ながら馬場が荒れていた宝塚記念を大外から差しきったことを思えば、道悪にも不安はない。弱点を突こうにも、それが逆に、イクイノックスの強さを引き立てる結果となるばかりである。

 トドメは、一週前の追い切りだ。美浦トレセンのWコースで追われ、6ハロン78秒9、ラスト1ハロン11秒8の好時計を馬なりでマーク。手綱をとったルメール騎手がこう言った。

「またパンプアップしました」

 厩舎関係者の嘆きにウソはなかった。天皇賞・秋の馬券予想は、黙って2着探しに徹したほうがいいようだ。

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