札幌記念の注目は「札幌・芝2000m」に強いオルフェーヴル産駒と、4歳夏以降の成長に期待のモーリス産駒 (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Sankei Visual

 血統を見てみよう。姉マジックキャッスルはGⅢ愛知杯の勝ち馬で、GⅠ秋華賞2着、GⅠヴィクトリアマイル3着とGⅠでも好走。母ソーマジックもGⅠ桜花賞3着という実力馬だ。母の父シンボリクリスエスの血を持つ馬も札幌・芝2000mは好成績を残しており、昨年はサクラトゥジュール(父ネオユニヴァース、母の父シンボリクリスエス)が、同コースで行なわれた3勝クラスのワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)第2戦を勝利している。ソーヴァリアントは父、母の父ともに、このコースはピッタリの血統馬と言えるだけに期待したい。

 もう1頭はラーグルフ(牡4歳、美浦・宗像義忠厩舎)を推す。父モーリスは昨年の勝ち馬ジャックドールと同じで、母の父ファルブラヴは2014年の勝ち馬ハープスターの母の父。ちょっと遠い関係ではあるが、先週のGⅢ関屋記念を勝ったアヴェラーレ(父ドゥラメンテ)と同牝系で、この牝系は地方交流GⅠ帝王賞を連覇中のメイショウハリオなども出ている勢いのあるファミリーだ。

 ラーグルフは今年のGⅢ中山金杯(中山・芝2000m)で重賞初制覇。前走のGⅠ大阪杯では11着に敗れたが、初の関西遠征で、マイナス10kgの馬体重だったように、体調が十分ではなかったのだろう。4歳にして重賞初制覇を飾り、大阪杯で敗れた次走に札幌記念に出走する臨戦過程は、ジャックドールを彷彿とさせる。

 モーリス産駒は昨年のGⅠエリザベス女王杯を勝ったジェラルディーナなど、4歳夏以降に力をつける馬も多い。この馬にもその成長力を期待したい。

 以上、今年の札幌記念はオルフェーヴル産駒ソーヴァリアント、モーリス産駒ラーグルフの2頭に注目だ。

プロフィール

  • 平出 貴昭

    平出 貴昭 (ひらいで・たかあき)

    主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide

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