「シント・トロイデンは21番目のJ1クラブ」 立石敬之CEOが『0円移籍』させない理由 (4ページ目)

  • 中田 徹●取材・文 text by Nakata Toru

 監督が『冨安がほしい』と言い、強化部長とチーフスカウトも『冨安が一番』と言うんだから、この交渉がまとまらないわけがない。要は、誰がクラブのなかで決定権を持つか探っておいて、おさえるところをおさえていくことが、移籍交渉では肝心」

── ガブリエルさんから、まずは立石CEOのイタリアコネクションがはじまり......。

「3年前には、フランスコネクションができました。これはベルギーのフランス語圏も含みます。そのフランスのエージェントがDFマキシマリアーノ・コーフリエ(現クレルモン・フット)というフランス語圏のベルギー人DFをベフェレンから連れてきて、スパルタク・モスクワに売って300万ユーロというビックリするぐらいの移籍金がもらえました。

 うちには、ドイツのコネクションもある。彼はラルフ・ラングニック(現オーストリア代表監督)派のひとり。オランダにもひとり置きたいですね」

── この冬、橋岡大樹選手がルートン・タウンに移籍して話題になりました。イングランドのルートは?

「オランダの大手エージェント会社がルートンの話を持ってきてくれました。そのエージェント会社はルートンにたくさん選手を送り込んでいて、クラブも彼らに選手の売り買いを任せている。ルートンも橋岡のことをチェックしていたので、交渉はスムーズに行った。今、我々はイングランドのコミュニティを強化しています」

── 橋岡選手にはリーズの噂もありました。

「今のリーズのオーナーは、サンプドリアのオーナーと同じ人なんです。私はサンプドリアの強化部長と仲がいい。彼はリーズのチーフスカウトもしていたので、その際に私が橋岡のことを話しました。このように、世界はぐるぐる回るんです。

 昨年からうちがやっているのは、シント・トロイデンが売る側として、各国のクラブに選手をプレゼンテーションする戦略です。イタリアの各クラブに『シント・トロイデンのこの選手はすごいぞ!』という話をガブリエルからしてもらって、うちのホームゲームに招待する。

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