久保建英とイ・ガンインの親友対決 日韓の至宝が交わる「物語の序章」は要チェック! (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【34億円でPSGに引き抜かれたイ・ガンイン】

 帰国した久保は、FC東京の下部組織で実績を積んだあと、2017年にJリーグデビューを果たすと、2019年夏にレアル・マドリードと契約。初年度の2019−2020シーズン、レンタル先のマジョルカでラ・リーガ・デビューし、翌シーズンのビジャレアル、ヘタフェを経て、再びマジョルカでプレーすることになった。

 バレンシアを退団したイ・ガンインがマジョルカに加入したのは、ちょうどそのタイミングだった。

 同じ攻撃的MFで、どちらもレフティという共通点を持つとあって、当時マジョルカで指揮を執っていたルイス・ガルシア・プラサ監督は、ふたりを同時にピッチに立たせることには消極的だった。さらに、そのシーズンの終盤にバトンを受けたハビエル・アギーレ監督は、残留を目標として守備重視のスタイルにシフトチェンジ。ふたりとも出番は激減した。

 久保に転機がおとずれたのは、翌2022−2023シーズン。レアル・マドリードを離れ、ラ・レアルに完全移籍を果たしたことで、持前の能力が開花。加えてフィニッシュワークの技術を磨き上げたことで、不動の右ウイングとしてチーム内で確固たる地位を築き上げるに至った。

 逆に、久保よりも1シーズン早くラ・リーガの舞台に立ったイ・ガンインは、そのままマジョルカに残って翌シーズンにブレイク。チャンスメイクのみならず、6ゴール6アシストの記録を残すなど、試合を決定づける主軸MFに飛躍を遂げたことで、昨夏に移籍金2200万ユーロ(約34億円)でPSGに引き抜かれた。

 ネイマールやメッシが退団したとはいえ、ヨーロッパ屈指の選手層を誇るPSGでイ・ガンインは出場機会を得られるのか──。

 開幕前、大方が懐疑的に見ていたことは否めない。しかも開幕前の負傷で出遅れたうえ、9月下旬からのアジア競技大会に韓国代表として参加するため、大事な時期にチームから離脱。もはや今シーズンの前半戦は、ベンチ要員に落ち着いても不思議ではない状況だった。

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