久保建英は今夏に移籍するのか 地元スペイン人記者「欧州サッカー界の貴族たちの目にはスター選手として映っていない」 (2ページ目)

  • ロベルト・ラマホ●取材・文 text by Roberto Ramajo

【久保は自分の歩みを的確に測っている】

 久保の契約解除金は契約延長で増額されず、6000万ユーロ(約96億円)のままだったが、クラブはその金額をそれほど重要視していない。ミケル・オヤルサバルやマルティン・スビメンディが契約延長した時も同じことが起こっていたが、契約解除金が据え置きのままだからといって、彼らが退団するとは私たちの誰も考えていない。

 もしラ・レアルでの居心地が悪ければ、彼らは容赦なく出て行くだろう。しかしこのクラブは最大限の努力をして、彼らがほかではここ以上により良い生活を送ることができないと感じさせている。それは選手が才能を開花させるために必要な、あらゆるツールを与えていることを意味する。

 すなわち、好条件の契約、すばらしい施設やチームの環境、競争に適したハイレベルなチームメイト、日々成長していると感じられるトレーニング、欧州カップ戦への参加や何らかのタイトル獲得といった野心的な目標などである。ラ・レアルにはそのすべてが揃っているため、久保ら主力選手の契約解除金を値上げする必要などないのだ。

 もし金銭的な理由なら、久保はとっくにサン・セバスティアンを離れていただろう。というのも昨夏、サウジアラビアから巨額オファーを提示されていたからだ。また、ほかのリーグでプレーするためなら、今冬の移籍市場で届いた数クラブからのオファーを受け入れていたはずだ。

 久保は野心家で常に上を目指している。しかしそれと同時に彼は自分の歩みを的確に測っており、今回のラ・レアルとの契約延長はその意思表示と言える。彼にはまだサン・セバスティアンでやるべきことがたくさんある。

 たとえ来季、チャンピオンズリーグに出られず、ヨーロッパリーグに参加することになっても気にしないはずだ。なぜなら彼が望んでいるのは選手として成長し続けることであり、そのためにはラ・レアルで得ているような安定した環境が必要なのだ。

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