久保建英の快勝劇に古巣の地元スペイン人記者が驚き「日に日にメッシを彷彿とさせる存在に」 (3ページ目)

  • ホセ・ルイス・リサラガ●取材・文 text by José Luis Lizarraga

【成熟したもう一つの要因】

 タケのサッカーが成熟したもう一つの要因は、ラ・レアルに完全移籍し安定感を手に入れたことだ。これまでマジョルカ、ビジャレアル、ヘタフェと期限付き移籍を繰り返し、短期間で環境を変えてきたことは、プラスに作用したとは思えない。なぜならどのクラブも自分たちの所有する選手を優先するからだ。チームを転々としないことで得られる心の安らぎが今の彼の才能を支え、確固たるものにしている。

 さらにミケル・メリーノ、ブライス・メンデス、マルティン・スビメンディ、ミケル・オヤルサバルといった多くの優れた選手たちと一緒にプレーすることで、非常に居心地の良い環境を作り上げ、自分の才能をさらに磨き上げることにも成功した。

 才能とは、多くの才能に囲まれた時に、より育まれるものであり、イマノル率いるチームにはそれに値する十分な才能が備わっている。

 サッカー選手への投資が大きなリスクを伴うカジノのルーレットにおいて、ラ・レアルは14番(タケ)に650万ユーロ(約10億4000万円)を賭けて見事的中させ、彼の市場価値は高騰している。ピッチで見せているクオリティーは、契約解除金として設定されている6000万ユーロ(約96億円)と同じくらい本当の価値があるものだ。

 このような成長を遂げるタケには常に、「レアル・マドリードに戻る日がいずれやって来るのか?」という疑問がついて回る。

 フロレンティーノ・ペレス会長は、彼がいつの日か世界最高のクラブでデビューできるよう、買い戻せる可能性を残している。そして18歳でスペインに戻ってからのタケの大きな夢は、ずっとレアル・マドリードでプレーすることだった。その一方で彼はラ・レアルに満足している。現時点で未来は不透明であるため、今後の動向を追う必要があるだろう。

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