「フランスの未来に楽観的だ」とデシャン監督。W杯連覇を逃すも若い選手が躍動、4年後への期待は一段と高まった (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

 大会前に続発したFWカリム・ベンゼマをはじめとする主力選手の負傷離脱に加え、肝心の決勝で起きた不可解なまでの選手の不調。フランスはまさかの事態が相次ぎ、その手につかみかけていた連覇達成を逃したわけである。

エムバペをはじめ、4年後に選手として脂の乗った時期を迎えるタレントが多いフランスエムバペをはじめ、4年後に選手として脂の乗った時期を迎えるタレントが多いフランスこの記事に関連する写真を見る しかしながら、ケガの功名と言うべきか、今大会で若い選手たちが貴重な経験を積んだことは、フランス代表の今後にとっては大きな成果と言えるだろう。

 MFエンゴロ・カンテやMFポール・ポグバが無事に登録メンバー入りしていれば、MFオーレリアン・チュアメニにこれほどの出場機会は巡ってこなかったかもしれない。連覇をかけた決勝の舞台で、チーム全体が精彩を欠くような事態に陥らなければ、コロムアニやテュラム、あるいはカマビンガに出番は回ってこなかったかもしれない。

 今回のフランス代表にはエムバペを筆頭に、20代半ば以下の選手が数多い。彼らは4年後、選手としてまさに脂が乗った時期を迎えるはずだ。

 2026年に北中米3カ国で共催される次回ワールドカップでは必然、今大会以上の自信とともにタイトル獲得に挑むことになるに違いない。

 デシャン監督は語る。

「フランスは常に大いなるポテンシャルを秘めている。私はフランスの未来に楽観的だ」

 フランス代表は絶体絶命のピンチを切り抜けながら、せっかくの連覇のチャンスを逃した。もったいない。そんな試合だったと言えるのかもしれない。

 だが、若い選手たちが決勝の舞台で上げた反撃の狼煙は、4年後への期待を大いに高めるものになったのではないだろうか。

【著者プロフィール】浅田真樹(あさだ・まさき)
フリーライター。1967生まれ、新潟県出身。サッカーのW杯取材は1994年アメリカ大会以来、2022年カタール大会で8回目。夏季五輪取材は1996年アトランタ大会以来、2020年東京大会で7回目。その他、育成年代の大会でも、U-20W杯は9大会、U-17W杯は8大会を取材している。現在、webスポルティーバをはじめとするウェブサイトの他、スポーツ総合誌、サッカー専門誌などに寄稿している。

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