遠藤航ら欧州で確固たる地位築く日本のボランチ Jリーグで存在感を増す次世代候補4人 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【貴重な左利きの川村拓夢】

 浦和レッズの伊藤敦樹(25歳)も、ポテンシャルの高さは日本代表でも証明済みだ。体格を生かした攻守が特長で、ダイナミックなプレーが売り。代表のトルコ戦で見せたゴールのように"一撃"も持っている。今シーズンはインサイドハーフでの起用が多くなりそうだが、オラ・ソルバッケンなど有力外国人選手とピッチに立つことで覚醒するか。

 サンフレッチェ広島の川村拓夢(24歳)は貴重な左利きボランチで、チームにダイナミズムを与えられる。サッカーIQが高く、どのゾーンに入っても役割を心得ていることで、攻撃的なポジションやサイドなど、さまざまな役割もできる。左足のひと振りで試合を決められる選手だが、それは才能の一端に過ぎない。フィジカルギフテッドの選手で、長く、速く走れる体力の持ち主でもある。

 川村のような左利きボランチは過去の日本代表でも稀有で、欧州進出が期待される。その野心次第では、日本サッカーの新時代の扉を開けるかもしれない。

 以上の3人と比べると体格で劣るが、横浜F・マリノスのMF山根陸はプレーメーカーとしての奥行きを感じさせる。パス出しひとつ、カバーリングのうまさだけでも、センスが横溢。プレーの渦を作り、試合をコントロールし、ボールを前に運べる。現代サッカーではサイドバックとボランチは符合性が高いが、昨シーズンは右サイドバックも任せられるなど、クレバーさも証明した。

 ただ山根のサイズでは、欧州へ飛躍するためには、プレーメイクや堅実な守備だけでなく、ゴール、もしくはゴールに直接関わる力が求められる。究極的なイメージとしては、スペイン代表のセルジ・ロベルトやクロアチア代表のルカ・モドリッチだろうか。欧州では後ろにもっとパワーのあるMFがいるだけに、2列目でも攻撃力を発揮できるかが重要になる。

 欧州ではポジション的ミッションを遂行できる選手が好まれる。たとえば「テクニカルだが、守備が弱い」となると、ボランチでは起用されない。そうなるとトップ下ということになるが、そこでは得点に絡む仕事が求められる。サイドだったら、速さを生かした崩しのプレーがあるか。「なんとなくうまい」という選手は適応できないし、激しい守備が売りだけの選手も、他の体格の大きな欧米の選手と比べると分が悪い。

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