佐野海舟が初の日本代表で衝撃を受け、田中碧、守田英正、遠藤航から学んだこと (2ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke

「鹿島で自分は何ができるのか、自分のプレーをどう出していくのか。チームのために全力を出そうと考えていたので、周りが期待してくれているのはわかっていましたけど、自分としては、過度に日本代表を意識することはなかったです。

 それに日本代表は、自分が行きたいと言って、行ける場所でもない。ましてや自分はJ2からJ1のクラブに移籍したばかり。J1では何も結果や内容を示していない選手でしたから」

 いざ、夢でしかなかった世界に飛び込むと、そこには自分の意識を変えてくれる空間が広がっていた。

「同じ国内組の選手たちもレベルは高かった。合流した時は海外組の選手たちの多くはリカバリーのメニューでしたけど、(シリア戦を戦うために)サウジアラビアに行ってからは、みんなで練習する機会もあって、よりレベルの高さを感じました。

『これ』とか『ここ』ではなく、すべての基準が高かった。その基準に合わせてやることができなければ、自分は生き残っていけないと思いましたし、ここに入り続けたいとも思いました。その空間にいられたことで、自分の日本代表への見方も変わりました」

 日本代表を率いる森保一監督から、今季の鹿島で示してきたプレーを求められたことも自信になった。

「自分のプレーの特徴について感想を聞かせてくれて、それを代表でも求めていると話してくれました。自分の特徴を最大限に出さなければ、自分がここに存在する意味はない。そう思って、チームのバランスを見つつ、自分の武器で勝負しようと考えました」

 2026年ワールドカップ出場を目指してスタートを切った初戦で、出場機会は巡ってくる。佐野は11月16日のミャンマー戦で、後半開始からピッチに立った。

「ベンチから見ていた前半は、アジアの戦いならではの難しさを感じましたけど、相手どうこうよりも、自分たちの狙いや仕留めるべきところで仕留めるプレーの精度が、やっぱり高いなと思いながら見ていました。後半開始から出場することになりましたけど、自分が試合に出る予定がなくても、常に準備はしていたので、緊張することなく試合に入れたと思います」

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