植田直通がアントラーズ復帰を決めた理由「今の選手やスタッフたちは、苦しい思いをしながら戦っていると想像できた」 (2ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 是枝右恭●撮影 photo by Koreeda Ukyo

この記事に関連する写真を見る── 岩政監督とのやり取りで、印象に残っている言葉があれば教えてください。

「それは、自分の心のなかにしまっておきたいと思っています。それくらい大切にしています。ただ、大樹さんからは『一緒に戦おう』と言ってもらいました。詳細を明かすことはできないですけど、今すぐにでも鹿島に帰って、ともに戦いたいと思わせてくれる言葉でした」

── 鹿島は、2018年のAFCチャンピオンズリーグ優勝を最後に、4年間タイトルから遠ざかっています。

「以前、僕が在籍していた時とは選手も大幅に入れ替わっているように、チームとして変わろうとする難しい時期だとは思っていました。プロサッカークラブにおいて、そうした移り変わりがあるのは仕方がないと思う部分もありつつ、鹿島は毎年、必ず優勝争いに加わり、さらにタイトルを獲らなければいけないクラブでもある。

 それだけに今の選手やスタッフたちは、かなり苦しい思いをしながら戦っていることは容易に想像できました。だから、自分がこのチームのために少しでも力になれたら、と」

── その思いが復帰の際に、「タイトルを獲るためだけに帰ってきた」という言葉につながっているのですね。

「そうです。でもそれは、僕が高校を卒業して鹿島に加入した時から変わらないことです。鹿島はいつの時代もタイトルを獲らなければいけないクラブであり、一番強いクラブであり続けなければならないですから」

── 鹿島に復帰した今季のプレーを見ると、植田選手がいかにベルギーとフランスで培った経験が大きかったかを実感します。

「鹿島からサークル・ブルージュに移籍した時、個の対応や個の戦いについては(ベルギーでも)問題ないと感じていました。ただ、ベルギーでは、全員が個の力が強い選手たちの集まりなので、日本特有のコミュニケーションを取って、組織で連係しながら守っていくような姿勢はあまり感じませんでした。

 これは自分にとっていい経験になると思い、チームを動かす力や方法を勉強しようと思ったし、そういったところを身につけられたのは、ひとつ成長できたところだと思っています」

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