Jリーグから海外へ移籍する流れは定番に 続々決まる若手の欧州行きを福田正博が分析 (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

【Jリーグでの十分な活躍後の移籍でもいいのでは】

 Jリーガーが海外移籍するこうした流れに、ブレーキはかからないだろう。ただ、Jリーグの行く末を考えると、猫も杓子も海外移籍という状況ではなく、Jリーグで活躍して国内で知名度を高め、相応の移籍金をクラブに残せるようになってから(例えば内田篤人の2010年鹿島からシャルケへの移籍金は当時の額で推定1億5000万円)移籍してもいいのではないかと思う。

 なぜなら、例えば海外で行き場を失ってJリーグに戻ってきたとしても、国内での知名度がなければ話題になりにくいからだ。もちろん話題になることがプロ選手にとって最重要ではないが、知名度の高さによって注目度が上がれば、プレーを観てもらえる機会は増える。ファンに「プレーを観たい」と思ってもらう選手になって、スタジアムに観客を呼ぶこともプロ選手の仕事だ。

 いずれにしろ、有力選手が次々と海外移籍し、国内でプレーするのはベテランと若手だけという現象は、まだまだ続くだろう。選手が抜けたあとも観客を呼べる魅力あるチームを維持していくのは大きな課題だ。

 こうした状況にあって、海外クラブから日本に戻ってくる選手は、日本と世界のサッカーの違いやレベル差をはかる物差しでもある。

「あのレベルで通じなかったのか」「次はあの選手が海外移籍しそうだな」「全盛期は過ぎたけど、海外で活躍したのは伊達じゃないな」という視点を持ちながら、Jリーグ後半戦を楽しむこともできるのではないかと思う。

福田正博 
ふくだ・まさひろ/1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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