アントラーズの危機「岩政を出せよ!」サポーターの罵声が飛び交い、昌子源は憔悴、鈴木優磨は「今日は勘弁してください」 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

【崩れつつある鹿島の伝統】

 一方で負けが込んでくれば、自らのサッカーに対する自信が揺らいでいく危険性もある。

 気がかりなのは、今季の鹿島は柏戦までに3敗を喫していたが、その相手は横浜F・マリノス、川崎フロンターレ、広島と昨季の上位3チームだった。いずれも1点差での敗戦とスコア的には僅差ながら、川崎と広島にはリードしながら終了間際の2失点で逆転負け。

 その負け方が、どうにも鹿島らしくはないのだ。1点を守り抜くサッカーで勝利を積み上げてきた鹿島の伝統とはあまりにも対照的な状況に、現状のチームの不安が浮かび上がる。

「大樹さんからの提示はいろいろありますし、それは選手がやること。僕らがこれをやれと言われてやるのも簡単ですけど、大樹さんは選手の個々を生かしたサッカーで、強い鹿島を取り戻すということをやってくれているので、それに応えられない僕らの責任かなと思います」(安西)

 選手たちは危機感をあらわにするが、まるでいいところのなかったこの柏戦を鹿島はどのように受け止め、どのように修正していくのか。

 今週末の15日には、ホームで首位のヴィッセル神戸との対戦を控える。不満を抱えたサポーターの前で、その真価が問われてきそうだ。

プロフィール

  • 原山裕平

    原山裕平 (はらやま・ゆうへい)

    スポーツライター。1976年生まれ、静岡県出身。2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る