Jリーグ序盤戦で目を引くブレイク候補5人「下位チームで孤軍奮闘」「縦に運ぶ力はA代表より上」「外国人選手が嫌がりそうな小兵」... (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

 2人目は川崎フロンターレの左SB、佐々木旭

 過去6シーズンで4度優勝している川崎も、今季は現在14位に低迷する。優勝争いは「難しい」とは筆者の見立てだが、チーム状態とは裏腹に、佐々木には上昇が見込めそうな好ムードを感じる。昨季加入した大卒2年目の選手だ。

 川崎の左SBと言えば、一昨季まで登里享平のポジションだった。2020年にはベストイレブンにも輝き、代表入りも狙えそうなムードにあった。しかし昨季早々、故障に見舞われる。加入したばかりの佐々木にタイミングよくチャンスが巡ってきた。登里が年間10試合に先発したのに対し、佐々木は18試合。今季の争いはどうなるか。

 登里が左利きなのに対し、佐々木は右だ。川崎は右SBの山根視来が今季から、マイボールに転じると中盤にポジションをとり、守備的MF然とプレーする。だが、左SBにその役割は求められていない。3バックか4バックかの調整を山根ひとりが担っている。

 左SBに求められているのは、大外を縦に走る従来の動きだ。縦に強そうに見えるのは左利きの登里だ。右利きの佐々木より優位そうに見える。だが、佐々木も負けていない。うしろ足となる右足で、懐深く縦に押し出すようにボールを運ぶ。奪われにくいドリブルをする。

 今のところ、左SBに求められていないMF的な素養もある。この点では登里を上回る。山根同様、多機能性を秘めた今日的なSBと言える。

 森保ジャパンもウルグアイ戦では、左SBの伊藤洋輝、右SBの菅原由勢に兼守備的MF的プレーを求めていた。左の伊藤と佐々木を比較するならば、ボールを縦に運ぶ力は佐々木のほうが上だ。中盤的な動きではどうなのか。川崎でこれから見てみたいプレーになる。

 3人目と4人目は鹿島アントラーズのふたりだ。アンカー役を務める佐野海舟と左右のウイングをこなす藤井智也だ。

 アンカーと言えば、最終ライン付近で、気持ち低重心に構えるものと相場が決まっている。昨年まで在籍していた三竿健斗がそんな感じの選手だった。守備的MFのみならず、センターバックとしてもプレーした。一方、佐野はあらゆる方向に反応よく飛び出す。カバーエリアの広い、新しいタイプのアンカーに見える。

 アンカーのいる4バックと言えば、布陣は4-3-3だ。事実上の4-2-3-1で戦ったこともあるが、鹿島が伝統的に採用してきた布陣は中盤ボックス型の4-4-2で、4-3-3に見えるサッカーで戦ったのは、昨季の終盤1、2試合に限られた。

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